研究課題/領域番号 |
24650333
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
仁木 清美 東京都市大学, 工学部, 教授 (40218095)
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研究分担者 |
菅原 基晃 姫路獨協大学, 公私立大学の部局等, 名誉教授 (60010914)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ストレッチング / 大動脈エラスタンス / wave intensity / 血管スティッフネス / 超音波計測 / 無侵襲計測 |
研究概要 |
計測室の整備、ストレッチング用品を整えて計測の準備を行った。また本年度の目標は実効大動脈エラスタンス計測システムを完成させることであったが、アンサブル平均から算出した波形より大動脈収縮末期圧(ESP)を測定するソフトは完成したが、1拍ごとに圧波形を提示してESPを自動計測するところまではできなかった。これは来年度の課題として取り組むこととした。 計測にあたり、超音波計測の再現性を調べ、心拍出量計測誤差軽減のための手法を検討した。また、ストレッチングを行う筋肉部位の検討を行い、僧帽筋、上腕筋群、骨盤部筋群、大腿部筋群のストレッチングを行うこととした。ストレッチング施行時間を20分としたプロトコルを作成した。ボランティアの方には記録用紙を渡し、ストレッチング施行記録を残していただくこととした。 健常ボランティアを募ったところ、20人の応募があり、インフォームドコンセントを得たのち計測を行った。試験は無事終了したが、ストレッチング施行群と非施行群で有意な差を認めなかった。これは被検者の年齢が20-23歳と若かったことが考えられた。 研究成果として、血流速度ベクトルに関し基本的検討およびWave intensity計測精度を評価し日本超音波医学会で発表した。また、計測値の再現性を高めるためプローブ位置を記憶させる、プローブ位置表示システムを作成し、比較検討を行った(日本生体医工学会にて発表)。その結果、心拍出量と血管スティッフネスの再現性が低いという問題が明らかになった。Wave intensityとEaに関して心疾患における検討を行い、正常人と比較した(日本超音波医学会で発表)。これらの計測結果を視覚的に3D評価するための画像処理方法に関して検討した。検討にあたり、AR技術の導入を考え(日本生体医工学会にて発表)、また画像処理教室と共同研究を行った(国際学会にて発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
[計測値再現性、計測精度の検討] 計測精度に関し、健康成人における正常値と計測のばらつきを計測し、計測値の再現性を検討した。その結果心拍出量と血管スティッフネスの再現性が低いという問題が明らかになった。特に高齢になるほど再現性が低く、その原因として血管自身の拍動に伴う振動が考えられた。計測精度を高めるため、計測姿勢、プローブ保持装置の改善、計測方法の検討を行ったため、実際のストレッチング試験の開始が遅れた。 [ストレッチング試験の達成度] ストレッチング試験は、若年成人20例でストレッチング施行群と非施行群に分けて2週間のプロトコル前後のEa, wave intensityを比較した。その結果、ストレッチング施行群でわずかであるが、血管スティッフネスの改善を認めた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は年齢層を中高年齢層に拡大し、ストレッチングの効果を検討する。また、どこの筋肉のストレッチングがよいかという、具体的なストレッチングの方法についても検討を行う。また、筋肉のストレッチングにより血管がどのくらい引き伸ばされているかを調べ、その効果も検討する。 血流評価にあたり、上行大動脈血流のシミュレーションも取り入れる予定である。 計測ソフトに問題点があることが明らかになり、次年度でさらなる改良を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は40歳以上の中高年齢層の健常ボランティアを得ることができなかった。そのため謝金分として265,000円が残金として残った。この残金は次年度の40-75歳の健常ボランティアへの謝金として使用する。合わせて80歳以上の高齢者のボランティアも募集しストレッチングの効果を検討する。 次年度研究費は主に被検者ボランティアへの謝礼、成果の発表、共同研究者との研究打ち合わせに使用させていただく予定である。
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