研究課題/領域番号 |
24650336
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
岩波 潤 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (00625931)
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研究分担者 |
大山 峰生 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10367427)
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キーワード | ミラーセラピー / 運動イメージ能力 / 運動誘発電位 |
研究概要 |
本研究の目的は,リハビリテーション診療で注目されているミラーセラピーの可能性を運動イメージ能力の観点から解明することである.具体的には,ミラーセラピーの効果的な実施条件を明らかにすること,さらにミラーセラピー実施時の皮質脊髄路の興奮性と個々の運動イメージ能力との関連を解明することを目的とした. 本研究では健常成人を対象とした.ミラーセラピーに類似した環境として鏡像手凝視+左示指随意運動を課題とし,安静時と課題実施時の各条件において左一次運動野への経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位(MEP)を計測した.また運動イメージ能力を数値化するため,運動イメージの鮮明性評価に「Movement Imagery Questionnaire―Revised second version(MIQ-RS)」を,運動イメージの統御可能性評価に「手のメンタルローテーション課題」を用いた.得られた運動誘発電位と運動イメージ能力との相関関係を求めた. 結果,課題実施時のMEP振幅値は,安静時より有意に高い値を示した.さらに課題実施時のMEP振幅値はMIQ-RSスコア(筋感覚的)との間に有意な相関関係を認めた.一方で,MIQ-RSスコア(視覚的)と手のメンタルローテーション課題の結果とは有意な相関関係を認めなかった. 本研究の結果から,ミラーセラピーと類似した条件である鏡像手凝視と随意運動の複合により生じる皮質脊髄路の興奮性増大は,運動イメージ能力(筋感覚的運動イメージの鮮明性)と関連することが明らかとなった.このことは,ミラーセラピーの治療効果は対象者の運動イメージ能力に依存する可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の実験途中に,本研究で使用する実験器具に不具合が生じ,研究継続が困難となってしまった.早急に対応を行ったが実験環境の整備に時間を要したため,研究がやや遅れている状態である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,個々の運動イメージ能力がイメージトレーニングの効果に影響を与えるかどうかを明らかにすることを目的として研究を進めていく.まずは個々の運動イメージ能力をMIQ-RSと手のメンタルローテーション課題を用いて評価するとともに,鏡像手注視・随意運動時の皮質脊髄路の興奮性を計測する.その後,1週間のイメージトレーニングを実施し,再度皮質脊髄路の興奮性を計測する.得られた結果をもとに,イメージトレーニングの介入効果を検討し,さらに介入効果と運動イメージ能力との関連を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の実験途中に実験器具に不具合が生じ,研究継続が困難となってしまった.これにより本研究で使用する予定であった実験備品・消耗品の購入費用や被験者へ謝金などが発生しなかったため,次年度使用額が生じた. 不具合が生じた実験器具を購入するための費用として使用する.また実験が再開可能となった後に生じる消耗品の購入費や被験者への謝金などの費用に充当する.
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