研究課題/領域番号 |
24650341
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
佐々木 千穂 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (30569603)
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研究分担者 |
境 信哉 北海道大学, その他の研究科, 准教授 (30299804)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脊髄性筋萎縮症(SMA)Ⅰ型 / Werdnig-Hoffmann病 / コミュニケーション発達支援 / 発達里程標 / 意思伝達装置 / 支援の手引き / 文字学習 / スイッチ操作 |
研究実績の概要 |
初年度作成した「SMA(Ⅰ型)児のコミュニケーション発達に関する里程標」および、SMAⅠ型児のためのICTを併用した「文字学習支援プロトコール」を盛り込んだ「SMAⅠ型児のコミュニケーション支援の手引き」を作成し公開した。また、コミュニケーション発達支援の効果検証を目的に、意思伝達装置の使用が可能となった対象児3例に対し、言語およびコミュニケーション評価を行った。この結果から、生活体験を重要視した支援が、コミュニケーション発達に重要であることも示唆された。 また、 早期に支援を開始することで学齢期前に意志伝達装置を使用したコミュニケーションが可能になるケースも複数経験した。さらに文字学習を含む学習支援においては、使用する機器類を複数併用することが必要となるケースが多くみられた。 しかし、このような機器類を使用したコミュニケーションを獲得するための支援体制は十分とはいえず、この背景には早期支援を支える制度が未整備であることが関係していると考えられた。この対策として、発達支援に必要な機器類の貸与や機器を使用したコミュニケーション支援を行える人材育成等の体制を構築することが急務であると考えられた。特に、意思伝達装置の使用に必要なスイッチ操作の獲得に際し、スイッチの選定や設置、スイッチ使用に使用する身体部位の維持・管理を行える支援者が少なく、この段階で支援が滞る傾向があった。一方で、スイッチ操作によりオートスキャン操作を学習できた児においては、ほぼその全例が意思伝達装置を使用した何等かのコミュニケーションを獲得できたことから、学齢期前から認知面・運動面へ系統的にアプローチを行なうことが重要であると考えられた。これらの支援に関しては、支援者間の連携協力が重要であり、重度障害児のコミュニケーション支援を地域で支えるシステムの構築が必要と考えられる。
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備考 |
・佐々木千穂、井村保:重度障害児の言語獲得支援のためのコミュニケーション機器の有効性に関する調査,H26年度厚生労働省科学研究費補助金障害者対策総合研究事業,音声言語機能変化を有する進行性難病等に対するコミュニケーション機器の支給体制の整備に関する研究H26年度総括・分担研究報告書pp71-78 ・境信哉、佐々木千穂 SMAⅠ型児のコミュニケーション支援の手引き,印刷:アートプロセス,2013年3月
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