研究課題
7個の無線型慣性センサを同時に使用して100Hz程度のサンプリング周波数で下肢動作を計測するため,バッファリング機能,メモリ機能等について検討し、Bluetooth Class1モジュールを使用することで屋内での30m以上の通信距離で安定な同時計測が可能であることを確認した.この結果を基に仕様を確定し,無線型センサを製作した.センサの製作と並行して、動作の評価指標の抽出方法の確立を進めた.身体部位の傾斜角度及び関節角度について,センサの身体への装着方法及び計測手順,ならびにジャイロセンサ出力の積分に対して,加速度センサ出力を用いてカルマンフィルタを適用する方法のパラメータ設定を検討し,実用的な精度で安定な計測が可能になることを確認した.さらに,3次元的動作の計測への展開を図るため,前述の算出方法の拡張,ならびにクォータニオン法による角度算出法の構築を行い,剛体リンクモデルを用いて2つの方法の計測精度の検証を行った.矢状面,前額面を想定した角度計測において,2次元的運動については,2つの方法で同等の良好な精度で計測できることを確認したが,3次元的運動については,実用が期待できる計測精度であったものの,2つの算出方法で2次元的運動に比べ計測精度の低下が生じ,改善が必要であることが確認された.一方,計測した関節角度や傾斜角度の情報を可視化するため,角度の時間データ,下肢動作のスティックフィギュアアニメーションを表示するソフトウェアの基本構造として,計測データの読み込み部,角度データの時間グラフとスティックフィギュアアニメーションの表示部を構築した.現段階では,矢状面内の角度のみに対応しており,また,アニメーション表示に条件設定を設けているため,健常者の歩行については比較的良好に再現できているが,障害者の歩行についてはアニメーションが不自然になる場合があり課題となった.
2: おおむね順調に進展している
(1)無線型慣性センサの仕様を確定し,無線通信での実用上十分な計測範囲を達成できる無線型慣性センサを製作した.(2)身体部位の傾斜角度や関節角度の計測方法・手順を確立し,信号処理のパラメータを検討した結果,2次元的運動については良好で安定な精度で計測可能になった.また,3次元的な運動の計測方法についても検討を行い,精度の改善が望まれるものの,プロトタイプへの実装が可能になった.(3)計測結果の可視化ソフトウェアについて,基本構造を構築した.
医療スタッフや一般の使用者が容易に操作できるように,計測・解析ソフトウェアを開発する.無線型慣性センサでの計測に関しては,計測条件の設定,データ計測の開始・終了,計測データの確認,データの記録などを容易に実行可能にするインターフェイスを実装したソフトウェアとする.計測結果の解析については,平成24年度に開発した基本構造をもとに,計測結果の可視化ソフトウェアを作成し,アニメーション表示に関連する角度に関連する角度算出法を実装する.そして,これらの無線型慣性センサによる動作計測ソフトウェアと可視化ソフトウェアを統合することで,計測から可視化までの一連の作業を実施できるモーションキャプチャシステムのプロトタイプシステムを実現する.リハビリテーションに従事する医療スタッフの協力のもと,開発したシステムの実証試験を実施する.運動機能障害者を被験者とした場合に,実際の使用を想定した操作や計測,結果の提示を通して,システムの臨床応用へ向けての実用性を検証し,改良を行う.また,人の運動を慣性センサで計測するためには,センサ装着時のキャリブレーションが必要になるため,初期姿勢の計測方法とキャリブレーションの方法についても合わせて検討し,上記のモーションキャプチャシステムに実装する.さらに,本研究関係者以外の一般使用者によるシステムの使用についても実証試験を実施し,計測・解析時の操作性や課題について検証する.
該当なし
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Int. J. Bioscience, Biochemistry and Bioinformatics
巻: Vol.3, No.3 ページ: 211-215
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電子情報通信学会技術研究報告
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Proc. 35th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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