研究課題/領域番号 |
24650344
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
新関 久一 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00228123)
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キーワード | シンクロ / 呼吸性不整脈 / 運動 / 食事 |
研究概要 |
今年度は食事と咀嚼運動がストレス指標として提案している呼吸性不整脈と呼吸リズム間の位相コヒーレンス(λ)にどのような変化をもたらすか検討した。14名の健康な被験者をリクルートし,胸部誘導心電図による心拍数,インダクタンス法による呼吸リズムおよびフィナプレスによるbeat-bybeatの血圧を計測した。被験者は5分間の座位安静を保った後(REST),カロリーメイト(CM,メープル味,200 kCal)を自分のペースで摂取した(CM)。食事終了後5分間の安静を保った(POST)。その間連続的に心拍,呼吸,血圧を計測した。また,消化管への食物流動の影響を調べるため,無味無臭のガム(GM)をCM食事と同じ時間咀嚼した。血圧波形からpulse contour法により心拍出量を求めた。また,心拍ゆらぎの周波数解析より自律神経指標を求めた(HRV指標)。CMではRESTとPOSTに比べ心拍数,血圧および心拍出量の有意な上昇が見られた。それらの上昇はGMでは減弱した。CM,GMともにHRV指標に有意な変化は見られなかった。λはCMで有意に低下し,GMではλの低下幅は小さかった。以上のことから食事中も咀嚼中も心血管応答は交感神経活動優位に傾くことが示唆される。HRV指標からは心臓自律神経活動の有意な変化は認められなかったが,λは有意に低下し,自律神経の変化を鋭敏に捉えることができると推測した。CMはGMに比べてλの低下幅が大きく,心血管応答が大きかったのは,消化管でのインスリン分泌の影響が考えられた。 また,λを心電図波形のみから計測するWindows用ソフトウェアを開発した。心電図波形をBluetooth経由でパソコンに取り込み,心拍間隔と心電図の振幅変調を利用して呼吸リズムを抽出する。10秒の解析窓でλを算出するソフトウェアを完成させた。今後は携帯用デバイスに移植するのが課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日常生活行動におけるストレス指標の変動(今年度は食事の影響)を計測し,年度内に学会発表を行う予定でいたが,解析が間に合わず発表は次年度に持ち越すこととなった。また,λをリアルタイムで計測するパソコン用ソフトウェアを開発したものの,携帯用デバイスへの組み込みは実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果は6月に開催される第53回生体医工学会大会において発表報告する予定である。また,ストレス指標λを心電図のみから推定するソフトウェアはパソコン用向けは開発しており,今後は携帯用デバイスに組み込むことが課題となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究成果を国際学会で発表する予定で研究を進めたが,解析が間に合わず学会出張の旅費が未使用となった。 2014年6月に開催される日本生体医工学会大会(於仙台)での発表が受理されており,学会発表のための出張旅費として使用する。また,残額の一部はソフトウェア開発費として使用する予定である。
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