研究課題
本研究では,電気刺激法を用いた麻痺疾患の運動機能回復訓練のために,筋疲労のリアルタイム計測と,運動と感覚に関係する脳賦活の計測により,忌避反応や疲労を少なくする刺激波形のパラメータを導出する方法論を開発し,長期リハビリテーションへ応用する.今年度は,筋疲労のリアルタイム推定・抑制手法および,筋疲労と忌避反応の少ない刺激パラメータの選択手法を確立し,電気刺激による長期リハビリテーションに応用した.筋疲労の推定・抑制においては,推定精度向上のため発揮筋張力積分値だけでなく時間に応じた筋疲労回復を考慮するよう,筋疲労度推定手法を拡張した.タスク前後でのMVC 低下率として筋疲労度を定量化し,タスク仕事量と筋疲労度の関係を求めるモデルを構築し,筋疲労モデルの検証を行った.表面筋電図から推定した発揮筋力を用いて,モデルマッチングを行った結果,FES 付与時の筋疲労度評価が可能であることが示された.また推定された疲労度とその疲労を引き起こした刺激パラメータとの関係性を明らかにし,疲労を出来るだけ抑制する刺激を選択できる手法を構築した.前年度に引き続き,fNIRSを用いて脳活動及び運動量と刺激パラメータの関係について網羅的に調査し,その傾向を明らかにし,回復効果に有効な大脳表皮の特定領野の賦活と電気刺激パラメータの関係性を詳細に調査した.その結果から電気刺激に対するヒトの脳における適応過程を解析し,運動を誘発しやすく脳賦活が高い刺激パラメータの選択手法を構築した.上記の研究成果に基づいた開発したFES刺激装置を,下肢麻痺を有する被験者5名に,単回使用時と長期訓練使用時に分けて脳機能変化を,PETを用いて評価検討した。FESを用いた長期訓練によって脳賦活領域の拡大縮小が引き起こされていることが示された.
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