先天色覚異常は遺伝的多型によって生じ,いわゆる赤緑色盲と呼ばれる1型と2型色覚は,日本人男性の5%,女性の0.2%,合わせて約320万人と,多数の者がこれに該当する.これらの色覚異常を有する者は,色の識別に困難を感じることが多く,特に赤と緑,ピンクと空色,青緑と灰色など,混同色と呼ばれる色の区別が付きにくい. 色覚異常の場合に,どの程度まで色の差異を知覚できるのか正確に評価するためには,色の差異を定量化する色空間と,定量化のための色差式が必要である.しかしこれらは未だ明らかにされていない.そこで本研究は,色覚異常を考慮した均等色空間と色差式を提案し,これらの有効性について検証した.
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