研究課題/領域番号 |
24650364
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
島田 裕之 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 自立支援開発研究部, 自立支援システム開発室長 (00370974)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 軽度認知障害 / 介護予防 / アルツハイマー病 / 高齢者 |
研究概要 |
本研究の目的は、認知症を発症する危険性が高い軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)を有する高齢者における認知症の早期発見システムを開発することである。認知症の予防や悪化予防のためには、介護予防事業や病院受診までの期間を短縮する必要があるが、認知症のリスクの確定は必ずしも早期に実施されていない。そこで本研究では、認知症を早期に発見することを目的としたコホートを新規に立ち上げ、簡便に調査可能な質問調査法を開発して調査を行う。また、認知機能検査を1年の間隔を空けて2回実施し、認知機能低下を早期に発見できるか調査する。本研究で認知症のリスクを簡便に発見するシステムが構築されれば、保健、医療、介護事業の円滑な連携方法を具体的に明示することが可能となる。 平成24年度は、MCI高齢者を特定するための調査の準備を行った。具体的には、自治体との折衝、MCIを判定するための基準の決定、電話調査項目の決定を行った。調査地は、申請者が所属する研究機関の近隣の1自治体(高齢者数約24,000名)であった。要介護高齢者を除く高齢者に検査実施の周知を自治体の広報や講演会などを利用して実施するために自治体との協力関係を構築した。MCI高齢者を特定するための基準値について候補となる検査は、一般的認知機能検査、論理的記憶、単語再認と遅延再生、図形認識と再認、実行機能検査を含む認知機能テストバッテリーとし、約3,000名の高齢者データベースから基準値を決定した。追跡調査項目は、本人が回答しやすい日常生活に関する項目とし、13項目の質問調査票を完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画は、調査実施自治体との折衝、MCIを判定するための基準の決定、電話調査項目の決定であり、これらはすべて達成できている。そのため、研究は順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、MCI高齢者をスクリーニングするための調査を実施する。対象者は、在宅に居住する65歳以上の高齢者とする。想定人数は約1,300名とし、これらの高齢者に対して各種認知機能検査を実施する。実施する認知機能検査は、iPadのアプリケーションとしてプログラム化して、トレーニングによって特殊な技能を持たない調査員でも実施可能であるよう工夫する。所要時間は約1時間で終了するものとし、20日間で実施する。MCI有症率を15%と仮定すると195名のMCI高齢者が特定できる。 195名のMCI高齢者を対象とした追跡調査を開始する。頻度は6か月に1回として、平成24年度に決定した調査項目を聴取していく。質問調査において、明らかな認知機能低下を示すカットポイントに達した場合には、医療機関への受診を推奨し認知症の診断情報を収集して、決定したカットポイントが妥当であるかどうかを検討する。平成26年度も追跡調査を継続し、認知症発症をアウトカムとした質問調査のスクリーニング精度の検証を継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度は高齢者に対する調査を継続するために人件費が必要となる。また、調査結果の報告や情報収集のための学会参加にかかる費用が必要である。次年度使用額(46,789円)は、平成24年度に予定していた人件費が縮小したために生じ、平成25年度の人件費に充てる予定である。
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