研究課題
本研究の目的は、認知症を発症する危険性が高い軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)を有する高齢者における認知症の早期発見システムを開発することである。認知症の予防や悪化予防のためには、介護予防事業や病院受診までの期間を短縮する必要があるが、認知症のリスクの確定は必ずしも早期に実施されていない。そこで本研究では、認知症を早期に発見することを目的としたコホートを新規に立ち上げ、認知症の危険性を早期に発見するためのスクリーニング指標を明らかにすることとした。平成24年度から平成26年度にかけて7912名(平均年齢73.2歳)の高齢者認知機能データベースを作成した。このデータベースを用いてMCIと関連する指標の探索を行った。平成25年度には、地域在住高齢者1122名のデータを用いて、手段的日常生活活動13項目の質問調査の合計点(満13点)からMCI判定を試みたが、この指標においては地域在住高齢者を対象とした場合に天井効果となり、MCIを早期に発見するには、妥当ではないと判断された。今年度は、記憶に特化した3つの質問調査を用いてMCIとの関係を分析した。物を置いた場所を忘れることが多くなったと回答した高齢者は、そうでないと答えた者と比較してMCIのオッズ比が3.3(95%信頼区間:2.9-3.8)であり、同様に親しい友人や知人の名前を忘れると答えた者のオッズ比は1.9(95%信頼区間:1.7-2.1)、周囲より、忘れっぽくなったと言われると答えた者のオッズ比は1.9(95%信頼区間:1.7-2.2)となった。また、これらの問題がないと答えた者と比較して、すべてに問題があると回答した者のオッズ比は13.6(95%信頼区間:10.2-18.1)となり、記憶に関する質問調査の重要性が示唆された。
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福祉介護テクノプラス
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