本研究はこれまで検討が進んでいない子どもの情動に対する実験アプローチを試みたものである.研究を滞らせた原因として,(1)自然な情動を引き起こすための実験状況を作り出す困難さ,(2)倫理的に十分に配慮した実験状況が求められること,(3)情動反応を他覚的に評価する方法が確立していないこと,などの困難さが挙げられた.そこで,本研究では,十分な倫理的な配慮のもと,ポジティブな情動のみならず,ネガティブな情動を自然に喚起したときの生体情報を被測定者に負担を与えないで記録しながら,母子が参加する実験方法を開発した.加えて,児童,生徒の情動機能が彼らの心身の健康と関連していることを示すことを見出した.
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