研究概要 |
速度の点で歩行よりも優れる走行を移動手段としてより有力なものにするため,走行中の身体負荷の軽減を目指し,外骨格型走行支援装置の開発が行った.走行支援装置の必要条件として,1)身体負荷の軽減に十分な支援力を伝達すること,2)身体に装着するため,軽量な装置であること,3)立脚期において着地から遅れることなく支援力を伝達する一方で遊脚動作を妨げないこと,として研究を進めてきた.しかし,これら全ての条件を満たし支援効果を発揮する外骨格型走行支援装置はなく,1)及び2)に関する定量的な設計目標が存在しなかった.そこで本研究では,腰部を持ち上げる支援を行った際の支援力と支援効果の関係,装置重量と支援効果の関係を明らかにすると共に,立脚期において遅れなく支援力を伝達し一方で遊脚期での遊脚動作を妨げない支持脚支援機構を有する外骨格型走行支援装置PEXER Vの開発を推進した. まず,腰部支援効果検証実験より,腰部を持ち上げるように体重の30%相当の支援をすることによって心拍数を11%減少させることを明らかにした.次に,装置重量影響検証実験より,体重の30%相当の支援をする外骨格型走行支援装置の支援効果がほとんど相殺されないためには装置重量を3.4kg以下に抑える必要があることを明らかにした.さらに,長さが可変の杖のような構造を持ち,ロックすることでその長さを短縮させない,あるいはアンロックすることで自由に伸縮させることが出来る支持脚支援機構を提案した. この支持脚支援機構をロックした状態で行えるホッピング実験にてPEXER Vによる支援の評価を行った.6km/hでの走行における重心の振動数である2.2Hzにて16%の心拍数の減少が見られた.これは走行中の11%の心拍数の減少にほぼ相当し,PEXER Vは立脚期において体重30%免荷相当の支援を行えることを示した.
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