本研究では、移動刺激の将来位置の予測的知覚を示す表象的慣性(representational momentum、RM)が無意識下の刺激でも生じるか否かについて、移動刺激の最終部分(prime刺激)に逆向マスキングを適用し、見えないprimeによってRMが生起するか否かを実験的に検討した。実験1の結果、見えないprime刺激でもRMが生じる傾向がみられたが、統計的な有意性には至らなかった。実験2、3では、見えないprimeによるRMが顕著に認められた者と全く見られない者が混在し、個人差が大きかった。今後の課題として、移動刺激に対する逆向マスキングの効果的な方法の再検討の必要性が示唆された。
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