研究課題/領域番号 |
24650396
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
彼末 一之 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (50127213)
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研究分担者 |
内田 雄介 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (00508252)
中田 大貴 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (40571732)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 野球 / バッティング / 視覚 |
研究概要 |
野球の投手が投げる140km/hのボールを打者から見ると、その角速度は打者の前を通過する際には1000deg/sを超える。野球選手の眼球運動は800deg/sに過ぎない。それでも、一流打者はボールを打つことが出来る。本研究では、野球選手のこの能力を明らかにするため、一流打者の眼球運動-知覚系の特性を、最近開発したシステムを用いて検討する。特に研究室内の基礎実験に加え、実際の打撃シーンにおいて眼球運動-知覚系の特性とパフォーマンスの関係を定量化する。パフォーマンス向上につながるような「眼球運動-知覚戦略」を選手に提供できるような知見が得られるものと期待される。 24年度は研究分担者の内田が明らかにしている「定位誤り」について野球選手の特性を厳密に計測した。被験者は大学野球部の打者、野球経験のない一般人、各6名とした。秒画率100Hzの液晶プロジェクターを用いて、スクリーン上を水平方向に高速運動するターゲットの色を運動中に任意のリファレンス点で赤から緑に変化させた。視覚刺激の移動速度は素早い眼球運動(サッケード眼球運動)を必要とする8条件(100,200,300,400,500,600,700,800°/sec)とした。被験者は、毎試行後に、変化が知覚された位置をスクリーン上に示されたリファレンスに従って口答により回答した。。実験の結果、運動速度によって知覚された変化位置が有意に異なった(p < 0.01)。下位検定の結果、100°/sec, 200°/sec条件とその他の全ての運動速度の定位誤りの大きさに有意な差が認められた(p < 0.05)。この結果は、変化位置は同じであるにも関わらず、運動速度が100°/secもしくは200°/secの時よりも300~800°/secの時に変化位置がターゲットの眼球運動方向に大きくシフトして知覚されたことを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二年間で、、一流打者の眼球運動-知覚系の特性を、最近開発したシステムを用いて検討する。特に(1)研究室内の基礎実験に加え、(2)実際の打撃シーンにおいて眼球運動-知覚系の特性とパフォーマンスの関係を定量化する計画であった。特に24年度は(1)を重点的に行い、計画通り研究は進行した。現在その結果を論文として投稿中で間もなく成果として発表できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、、特に(2)実際の打撃シーンにおいて眼球運動-知覚系の特性とパフォーマンスの関係を定量化する、の部分を重点的に行う。すでに24年度中に予備実験をおこなって、測定系は確立している。予定通り、研究は遂行できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
723円を次年度に使用する。これは主として消耗品代に充当する。
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