抗好中球抗体 (1A8)を用いた好中球浸潤抑制モデルおよびクロドロン酸リポゾームを用いたマクロファージ除去モデルを応用し、疲労困憊運動誘導性の急性筋損傷における好中球およびマクロファージの関与を検討した。 まず好中球浸潤抑制モデルでは、10週齢のC57B/6J雄マウスを用い、無作為に安静群 (n=10)、安静+抗好中球抗体投与群 (n=10)、疲労困憊運動群 (n=10)、疲労困憊運動+抗好中球抗体投与群 (n=10)の4群に分けた。麻酔下にてマウス1匹あたり0.5μgの抗好中球抗体(1A8)を、抗好中球抗体非投与群には0.5μgのコントロール抗体 (2A3)を腹腔内投与した。次にマクロファージ除去モデルでは、10週齢のC57BL/6J雄マウスを用い、無作為に安静群 (n=8)、安静+マクロファージ除去群 (n=8)、疲労困憊運動群 (n=8)、疲労困憊運動+マクロファージ除去群 (n=8)の4群に分けた。麻酔下にてマウス1匹あたり150μlのClophosome-A (TM)-Clodronate Liposomesを、マクロファージ非除去群には150μlのPlain Control Liposomes for Clophosome-Aを腹腔内投与した。 好中球浸潤抑制モデルでは投与24時間後に、マクロファージ除去モデルでは投与48時間後に、トレッドミルを用いて疲労困憊走行を負荷した。血中筋損傷マーカーと腓腹筋の組織学的評価およびreal-time quantitative PCRによる炎症反応の解析を行った。 その結果、疲労困憊運動後に腓腹筋組織に浸潤するM1マクロファージが炎症性サイトカインの産生による炎症反応を介して疲労困憊運動誘導性筋損傷に関与していると考えられた。また好中球はマクロファージの浸潤を仲介して疲労困憊運動誘導性筋損傷に関与していると考えられた。
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