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2012 年度 実施状況報告書

ゲーム機用センサを使った循環制御系の役割分担仮説の検証と健康度モニタリング

研究課題

研究課題/領域番号 24650415
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東北大学

研究代表者

吉澤 誠  東北大学, サイバーサイエンスセンター, 教授 (60166931)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード血圧反射機能 / 循環制御系 / 脈波伝搬時間 / 光電容積脈波 / ρmax / 相互相関係数 / コヒーレンス関数 / 伝達関数
研究概要

Mayer波帯域における血圧-心拍数間の線形相関性は,安静時に強く,映像刺激入力や姿勢変動の際に弱くなる.この現象は,「安静時には主として心拍数調節が行われ,環境変化時には心拍数調節ばかりでなく血管抵抗調節が行われる」という仮説(心拍数調節と血管抵抗調節の役割分担仮説)で説明できる可能性がある.本研究では,この仮説を検証するとともに,この仮説に基づいてゲーム用脈波センサを利用した日常的に使用できる血圧反射機能推定システムの開発を目的とした.
本年度では,血圧反射機能の基本的な特徴を明らかにするため,血圧反射機能を司る循環制御系の特徴を表わす指標のうち,入出力間の伝達関数やコヒーレンス関数を解析した.実験では,バイオフィードバックに応用しやすい呼吸統制を健康な被験者72名に課し,このときの脈波伝搬時間(PTT)と心拍数(HR)の間の動特性を定量化することにより,自律神経機能の評価が可能かどうかを検討した.すなわち,それぞれの変数のLF成分・HF成分・LF/HF,および2変数間の相互相関係数の最大値ρmax・コヒーレンス関数γ2・伝達関数のゲイン|G(jω)|を求めた結果,次のことが分かった.1)10秒周期呼吸時のρmaxが極端に低い者は,自律神経系の働きに問題がある可能性がある.2)10秒周期呼吸時のHRのLF成分は加齢により低下する.3)安静時の|G(jω)|のLF成分の大きさに基づいて,10秒周期呼吸を実施しなくても自律神経機能の性能が推定できる可能性がある.
今後は,上記の性質に基づいたバイオフィードバック,例えば効率的に血圧の低下やストレスの低減を導くような呼吸統制訓練などの具体的な方法の構築をすべきと思われる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度では,血圧反射機能の基本的な特徴を明らかにするため,血圧反射機能を司る循環制御系の特徴を表わす指標のうち,入出力間の伝達関数やコヒーレンス関数を解析した.実験では,循環制御系の特徴が現れやすく,バイオフィードバックに応用しやすい呼吸統制を課した結果,脈波伝搬時間と心拍数の間の動特性を表わす指標のいくつかが,循環制御系を支配する自律神経機能の特徴をよく反映することが明らかとなり,自律神経機能評価を家庭でも手軽に実施できる可能性が示されたから.

今後の研究の推進方策

平成24年度では,脈波伝搬時間と心拍数の間の動特性を表わす指標のいくつかが,循環制御系を支配する自律神経機能の特徴をよく反映することが明らかとなり,自律神経機能評価を家庭でも手軽に実施できる可能性が示された.しかし,脈波伝搬時間の計測には脈波信号のほかに依然として心電図信号の計測も必要である.そこで今後は,ゲーム機用センサだけでも計測可能な光電容積脈波のみで計算できるような指標を導入することが望ましい.さらに,効率的に血圧の低下やストレスの低減を導くような呼吸統制訓練などの具体的な方法の構築を検討する.

次年度の研究費の使用計画

平成25年度の物品費で購入する臨床データ収集用コンピュータ(ソニー・VAIO)は自律神経機能が低下したヒトの循環系計測データを取集し,解析するために使用する.電子回路部品類・電極類はレファレンスデータの計測に伴うものである.計算機ソフトウェアはデータ計測と解析のために用いる.各年度の国内旅費のうち研究打ち合わせ旅費は,遠隔地(福島市の福島大学)の連携研究者との研究打ち合わせに用いる.各年度の謝金の実験補助は,健常者および臨床データでのデータ収集および実験の補助員のためのものである.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Application of a Telemedical Tool in an Isolated Island and a Disaster Area of the Great East Japan Earthquake2012

    • 著者名/発表者名
      Makoto YOSHIZAWA, Tomoyuki YAMBE, Norihiro SUGITA, Satoshi KONNO, Makoto ABE, Noriyasu HOMMA, Futoshi TAKEI, Katsuhiko YOKOTA, Yoshifumi SAIJO, Shin-ichi NITTA
    • 雑誌名

      IEICE TRANSACTIONS on Communications

      巻: E95-B ページ: 3067-3073

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 植込み型除細動器への実装を考慮した致死性不整脈検出アルゴリズムの改良2012

    • 著者名/発表者名
      阿部 誠,吉澤 誠,テルマ ケイコ スガイ,本間 経康,杉田 典大,清水 一夫,後藤 萌,稲垣 正司,杉町 勝,砂川 賢二
    • 雑誌名

      電気学会論文誌C

      巻: 132 ページ: 1943-1948

    • 査読あり
  • [学会発表] Evaluation of autonomic nervous function for elderly people using electrocardiogram and plethysmogram2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshizawa M, Sugita N, Abe M, Homma N, Konno S, Yambe T, Nitta S
    • 学会等名
      SICE Annual Conference 2012
    • 発表場所
      Akita University, Akita, Japan
    • 年月日
      20120820-20120823
  • [図書] Methods for Estimating a Cross-Correlation Index of the Baroreflex System by Using a Plethysmogram, Takami Yamaguchi, MD PhD (Eds.), Nano-Biomedical Engineering 20122012

    • 著者名/発表者名
      Mkoto Yoshizawa, Norihiro Sugita, Tomoyuki Yambe, Satoshi Konno, Telma Keiko Sugai, Makoto Abe, Noriyasu Homma, Shin-ichi Nitta
    • 総ページ数
      566-576
    • 出版者
      Imperial College Press, London
  • [産業財産権] 脈波伝搬速度の測定方法およびシステム並びに撮像装置2013

    • 発明者名
      高森哲弥,吉澤 誠,本間経康,杉田典大,阿部 誠
    • 権利者名
      高森哲弥,吉澤 誠,本間経康,杉田典大,阿部 誠
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2013-47014
    • 出願年月日
      2013-03-08

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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