研究課題/領域番号 |
24650420
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
福田 直子 東京海洋大学, 保健管理センター, 教授 (40313382)
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研究分担者 |
庄司 るり 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (50272729)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | Maritime Medicine / Telemonitoring |
研究概要 |
船員の業務は陸上では危険業務に相当する。しかし近年、船員の高齢化やライフスタイルの変化により生活習慣病予防が課題となっている。船員の生活習慣病予防には、船員独自の問題である職住一体の船上生活や船上/陸上の二重生活に対応する対策が必要であるが、船上の健康状態や生活習慣を把握することは困難である。一方、陸上には及ばないものの海上における通信技術も発達し、遠隔医療の一分野として船上船員の健康に関する情報管理ができる可能性が出てきた。そこで船上遠隔健康管理システムを開発し、実際に運航している内航船において実証実験を行った。 ・船舶遠隔健康管理システムの構築:船上で船員の健康情報を収集し船内専用PCに記録し、それら情報を携帯電話通信サービスを利用して東京海洋大学構内に設置した遠隔医療用サーバに送信する方式とした。職務中の船員の負担軽減、船舶運航に支障のないようにすること、海上通信の不確実さに対応するなどの技術的問題を解決した。 ・内航船における実証実験:船舶遠隔健康管理システムを実際の内航船に搭載し数か月間実験を行った。船社や船舶への訪問を行い、関係者の理解を得ながら進めた。運用上の注意すべき点など実用化に向けた知見が得られた。 ・船上の健康情報に基づく保健指導(保健教育):各人のデータのグラフと、医師・管理栄養士からのコメントを付けた個人レポートを計3回作成し配布した。個人レポートを渡す際、本実験に対する質問や意見、感想など自由記述のアンケートを同封し12名の回答を得た。うち4名は「特にない」との回答であったが、他の8名から保健指導に対する自分の事情の説明などの回答を得た。回答には「血圧を気にするようになった」、「計測が自分の健康管理の参考になる」などの記入もあり、本システムが船員の健康意識の向上に寄与する可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
船舶遠隔健康管理システムを開発し、運航している内航船においてそのシステムが数か月にわたって実際に運用できることが以下の点で確認された。 ・参加船員は自身の健康情報の記録を長期間にわたって負担なく行うことができた。 ・通信上のトラブルはほとんどなかった。 ・得られた健康情報を基に保健指導(保健教育)を行うことができ、その反応も良好であった。 ・健康情報を記録する側、健康情報をモニタリングする側にとっての利便性や保健指導(保健教育)に向けた問診項目の再検討など課題の抽出ができた。
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今後の研究の推進方策 |
課題を解決しシステムの完成度を高め、内航商船における実船実験を中心として進める。より適切な保健指導(保健教育)を行うことができるよう、得るべき健康情報を検討し、システムおよび運用方法に反映する。また得られたデータから船員の船上生活習慣の特徴や改善の提案を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
・クライアント側とサーバ側両者の使いやすさを向上させるため、船舶遠隔健康管理システムソフトの改善とメンテナンス ・計測機器の追加購入、機器修理、通信費用 ・改善ソフトの設定や説明、及び状況確認やトラブル対応等のため、訪船する旅費 ・文房具、英文校閲、論文別刷り
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