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2012 年度 実施状況報告書

慢性腎臓病の新たな栄養指導法開発を目指したリン負荷指数の理論と技術基盤の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24650424
研究機関徳島大学

研究代表者

竹谷 豊  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30263825)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード慢性腎臓病 / 高リン血症 / リン制限 / リン負荷 / 栄養学 / 栄養指導
研究概要

近年、リン過剰摂取が慢性腎臓病患者のみならず健常者においても心血管疾患の危険因子と考えられており、食生活における過剰なリン摂取を回避するための栄養管理法の開発が求められている。我々は、食品毎に生体内でのリン利用率が異なることに着目し、食品毎の生体へのリン負荷度を「リン負荷指数」とし、その理論の構築と栄養管理法への適用法について、本研究で確立することを目標としている。
平成24年度の取り組みにおいて、リン負荷指数の健常者10名を対象に、リン負荷指数の評価を行うための適切なリン投与量と代表的な食品3品のリン負荷度を評価し、リン負荷指数算出法の検討を行った。まず、リン負荷状態を適切に評価し、かつ評価可能な必要最低投与量を決定するために、同一の食品で50mg~400mgのリンを含む食品を摂取させ、食後の血清リン濃度、副甲状腺ホルモン濃度、尿中リン排泄量を評価した。その結果、200mg以上のリンを摂取させることで十分な評価が可能であることが明らかとなった。また、200mgのリンを含む、リン酸ナトリウム水溶液を基準とし、実際の食品で食後血清リン濃度、副甲状腺ホルモン濃度、尿中リン排泄量変化を比較した。
その結果、①リン酸ナトリウム水溶液と同等の血清リン濃度、副甲状腺ホルモン濃度の上昇を引き起こす群、②血清リン濃度の上昇はわずかであるが、副甲状腺ホルモンの分泌が亢進する群、③血清リン濃度も副甲状腺ホルモンもほとんど上昇しない群に大別できることが明らかとなった。これらの結果から単純に血清リン濃度上昇やPTH上昇から導かれるリン負荷指数を算出し評価することが可能となったが、一方でこれらの指数で単純に比較しただけでは不十分であることも明らかとなった。現在、総合的に評価できる指標の開発に取り組むとともに、評価する食品数を増やして評価法の妥当性の検証を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

リン負荷試験に用いるための適切な用量試験が設定できた。また、代表的な食品について負荷試験を行い、リン代謝調節機構に及ぼす影響の違いを群別に区分することができた。このことから概ね順調に進展していると評価できる。しかしながら、血清リン濃度上昇はわずかでも副甲状腺ホルモン分泌が高いという結果を示す食品が存在するという予想外の結果がでてきたことから、今後このような食品が、リン負荷状態を示しているのかどうかを明らかにし、その意義を解明する必要がある。

今後の研究の推進方策

血清リン濃度上昇が軽微であっても副甲状腺ホルモンが多く分泌されるという新たな課題が出てきたことから、これらを個別に評価するか、両者を組み合わせた新たな指標の開発、もしくは総合的な指標としての尿中リン排泄量の有用性について検討を行い、リン負荷指標の評価法の確立を目指す。併せて、評価食品数をできるだけ増やし、これらの指標の妥当性について検証を行う。

次年度の研究費の使用計画

当初の予定通り、健常者20名を対象に200mgのリンを含む様々な食品を摂取してもらい、食後の血清リン濃度、副甲状腺ホルモン濃度、尿中リン排泄量を測定し、血清リン濃度曲線下面積あるいは副甲状腺ホルモン濃度曲線下面積を比較し、リン負荷指数を求める。この両者による比較に加え、総合的な評価指数の開発についても併せて行うものとする。また、当初計画にあるように、血管内皮機能への影響についても併せて評価を進めており、リン負荷指数と心血管系への影響についても評価を行う。これらの試験を行うに際し、食材や血清マーカーの測定キットの購入費など物品費として700,000円、被験者・採血者への謝金として420,000円、その他180,000円を使用する。また、前年度までの成果を学会で報告するため、旅費として300,000円を使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Dietary phosphorus in bone health and quality of life.2012

    • 著者名/発表者名
      Eiji Takeda
    • 雑誌名

      Nutrition Review

      巻: 70 ページ: 311-321

    • DOI

      10.1111/j.1753-4887.2012.00473.x

    • 査読あり
  • [学会発表] リン代謝異常と血管機能障害2013

    • 著者名/発表者名
      竹谷 豊
    • 学会等名
      第27回ROD研究会
    • 発表場所
      ホテル名古屋ガーデンパレス(愛知県)
    • 年月日
      20130209-20130209
    • 招待講演
  • [学会発表] 腎疾患におけるリン、たんぱく質2013

    • 著者名/発表者名
      竹谷 豊
    • 学会等名
      第16回日本病態栄養学会年次学術集会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      20130112-20130113
    • 招待講演
  • [学会発表] Dietary Phosphate Restriction Prevents Renal Anemia in Chronic Kidney Disease Model Rats2012

    • 著者名/発表者名
      Mari Nakao
    • 学会等名
      American Society of Nephrology Kidney Week 2012
    • 発表場所
      San Diego Convention Center(U.S.A.)
    • 年月日
      20121030-20121104
  • [学会発表] The Expression Profiling of Intestinal Nutrient Transporter and Channel Genes in Rats with Renal Failure2012

    • 著者名/発表者名
      Hironori Yamamoto
    • 学会等名
      American Society of Nephrology Kidney Week 2012
    • 発表場所
      San Diego Convention Center(U.S.A.)
    • 年月日
      20121030-20121104

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公開日: 2014-07-24  

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