研究課題/領域番号 |
24650425
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
一宮 厚 九州大学, 基幹教育院, 教授 (90176305)
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研究分担者 |
熊谷 秋三 九州大学, 基幹教育院, 教授 (80145193)
林 直亨 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (80273720)
中村 亨 東京大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (80419473)
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キーワード | 身体活動量 / うつ状態 / 活動量計 |
研究概要 |
本研究は,新規に開発された行動組織化解析がうつ病などのメンタルヘルスの悪化の早期発見に有用であるか検証することを目的としていた. まず,標準的に利用されている活動量計を研究に利用できるかを検討するために,比較的安価なO社製のデバイスを腰に,高価なA社製のアクチグラフを非利き腕につけた同時計測を学生6名に1~2日間実施した.両デバイスの日中のデータの相関は低かった.その理由としては,O社デバイスは積分加速度値から活動量を評価しており,加速度データから2-3Hzの動きを計測するA社のアクチグラフに比べて感度が低いことが考えられた.このことから,O社のデバイスによって日中の不活動を計測することは困難であると判断し,比較的安価な活動量計を用いた大規模前向き調査を行うことは中止することとした. 基礎データを収集するため,アクチグラフのみによる測定を,学生の比較的精神ストレスが高いと予想される時期に行い、同時にCES-Dを用いて鬱症状を評価した。10名程度の学生を対象として実施したが,その活動量はこれまでに成人で得た結果に比べて1割程度高い傾向にあり,活動量の分散や歪度が有意に高い値となった.簡単にまとめるならば,学生は,運動強度を無視すれば動き続けていたということになる.これらの学生は精神健康度の得点は,病的水準に達してはいなかったが,活動量から得られる様々な指標との関連は認められなかった.被験者の活動量・パターンおよび精神健康度に分散が小さかったことなどが要因と考えられ,両者の関連の有無については結論できなかった. 今後は,A社のアクチグラフは高価なため購入できた台数が少ないために時間を要するが,有症状の学生を含む多人数を対象として計測を行い,行動パターンと気分障害との関係を明らかにする必要がある.
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