研究概要 |
1. グレリン遺伝子多型(Ghrelin&Obestatin)およぼグレリン受容体遺伝子多型(GHSR)と小児肥満の食行動・代謝異常について関連があるかどうか検討を進めた。小児肥満の症例35名を現在まで解析した。グレリン遺伝子について、g.A-604G (rs27647), g.C-501A(rs26802), g.C247A(Leu72Met, rs696217), g.A265T(Gln90Leu, rs4684677), g.G62T(rs356839)のSNPsについて検討した。g.C247A(Leu72Met)に関しては、血清コレステロール値と血清LDLコレステロールとの相関がみられた。成人の報告ではg.A-604Gとg.C247A(Leu72Met)でインスリン抵抗性指標(HOMA-IR)、BMI-Zスコアとの関連が指摘されているが、今回の検討ではいずれのSNPsでもHOMA-R・BMIとの関連は観察されなかった。グレリン受容体遺伝子多型について遺伝子型を含め解析準備を進めている。 2. 食餌性肥満マウスの動物実験にてグレリン血中濃度を測定した。高脂肪負荷食餌にて肥満モデルマウスを作成した。αグルコシダーゼ阻害剤の投与にて血中活性化型グレリン値に有意な変化は起こらなかった。血中のグレリンだけでは全身のエネルギーバランスを推測することは困難と考えられた。αグルコシダーゼ阻害剤の投与で、体重減少、インスリン抵抗性の改善(HOMA‐Rの減少)、酸素消費量の増加が観察された。食餌量は投与群と非投与群で差がなかった。αGIによる褐色脂肪細胞のUncoupling protein-1(UCP1)、PPAR-γ Coactivator-1a(PGC1a)の増加が認められた。αグルコシダーゼ阻害剤で褐色脂肪細胞の熱産生が増加することが分かった。
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