研究課題/領域番号 |
24650429
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
数見 隆生 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (30006465)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 学校防災の教訓 / 未被災地域の課題 / 防災教育のあり方 |
研究概要 |
東日本大震災は平成23年3月11日に発生したが、その後約1年かけて宮城県内の被災校53校を自費にて視察・取材調査し、被災・被害状況及びその教訓を整理して、その年の12月に『子どもの命はまもられたのか』(かもがわ出版)という啓発的書を発刊した。24年度に入り、本補助金を受け、当時の津波による避難の状況及び子どもと学校への避難住民を守った養護教諭の活動についての取材調査とその後1年を経過しての子どもの心身への影響についての取材調査を、特に被災の大きかった21校の学校に追跡調査を行った。また、24年度には、岩手県の学校にも約30校の視察及び取材を行い、宮城県との被災状況の違いについて分析検討した。それらの結果については、平成24年11月に神戸で開かれた第58回日本学校保健学会にて報告した。また、宮城県における約2年間の研究の成果として、学校防災上の教訓と課題について整理し、平成25年3月に東京(明治大学)で開かれた日本教育学会主催の「震災と教育」のシンポジウムにおいて報告した。 こうして明らかになった宮城県と岩手県における学校防災上の教訓と課題に基づきアンケート調査用紙を作成し、今後被災の可能性が指摘されている東海・南海地方7県(神奈川・静岡・愛知・三重・和歌山・徳島・高知)の沿岸部(海岸線から4Km以内)の学校約1500校を対象に、平成25年1月初旬に調査用紙を発送した。そのアンケートの回収は、3月中旬でほぼ終え、約820通の回答を得て、現在そのデータをエクセルに入力作業中である。25年度における取り組みは、このアンケート調査の結果を集計・分析し、今後の課題を検討する予定である。同時に、回収されたアンケートの中で、大きな課題を抱えている学校を抽出し、直接学校を訪問・視察して検討を加え、今後津波襲来が予想される地域における学校防災上の課題を明確化し、全国に発信する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
その理由は、当初予定していた宮城県の被災校約50校、岩手県約30校の視察や取材が出来たこと、そしてその調査から、今回の東日本大震災における学校防災上の教訓と課題がかなり明確になったことによる。 また、その2つの県の調査からの教訓と課題に照らし、今後地震による津波の襲来が予想される地域へのアンケート調査を作成し、当初予定していた東海地方だけでなく南海地方にもアンケート調査依頼が出来、その発送と回収の作業が終わり、入力作業もほぼ終えることが出来たことも、ほぼ予定通の進捗状況であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
25年度の研究としては、被災地である宮城県と岩手県を中心とした被災校における子どもたちの状況を見守りつつ(情報収集をしつつ)、心のケアの課題や身体面・健康面の課題についても追跡したいと考えている。 また、東海・南海地域の学校を対象に行ったアンケート調査については、その分析と検討をしっかり行い、問題点や課題を明確にし、研究上の問題提起・発信をしたいと考えている。そのために、アンケート用紙の統計的な検討だけでなく、課題の大きい学校に対しては、直接訪問し、視察と取材による分析・検討を行いたいと考えている。 さらに、26年度にまたがる研究になるが、目下、千葉県の南房総市の教育委員会と共同研究を始めており、ここをモデル地域とし、管内20校の学校における防災教育の実践(教材開発と実践のあり方)を、東日本大震災の教訓を生かして取り組みたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記に述べた平成25年度の計画を推し進めるために、1つは、宮城県及び岩手県への学校訪問に要する調査旅費等と、2つは、東海・南海地域の調査の集計・分析に要する謝金、及び旅費、そして調査結果のまとめ(報告書の作成と学校への返しの郵送料)等に経費を使用することになると考えている。
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