初年度の平成24年には、主に宮城県と岩手県の沿岸部被災校を訪問調査(視察および取材)し、被災の事実とその要因・背景について分析・検討するとともに、今後への防災上の課題を教訓として洗い出す作業を行った。その研究成果は、学会(日本教育学会・日本学校保健学会・日本学校安全学会、等)に報告するとともに、一冊の本~『子どもの命は守られたのか』(かもがわ出版)として刊行した。 平成25年度は、宮城・岩手の学校防災上の教訓をもとに、防災上の実態と課題に関するアンケート調査用紙を作成し、東南海地域(神奈川・静岡・愛知・三重・和歌山・徳島・高知の7県)沿岸部の学校に調査を実施し、815校からの回答を得て、その分析を行った。今後かなりの確立で地震・津波の可能性が指摘されるこの地域の学校で、さまざまな防災上の問題点と課題があることを分析・考察し、『東南海地域における沿岸部学校の防災状況に関する調査研究報告書』として発行し、この地域の学校への課題提起を行った(この報告書の出版には、研究分担者になっている基盤研究A(課題番号2423073)の経費を活用していることを申し添える。 また、平成24年度の後半から26年度までは、学校防災に関するモデル地域として、千葉県南房総市の教育委員会と共同研究を実施する組織化を行い、調査(19の小・中学校の教職員・児童生徒・保護者対象)と実践(在校時と登下校時の避難訓練・地域との連携による避難場所の確保と避難路の整備・防災指導や授業、等)を2年余り追究した。その成果は26年3月に研究報告書:『南房総市における学校防災への取り組み~その成果と課題』として400部発刊した(この報告書は全額当科研費の補助金を活用した)。
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