研究課題/領域番号 |
24650430
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
井上 洋士 放送大学, 教養学部, 教授 (60375623)
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キーワード | 保健医療情報 / ヘルスリテラシー / HIV/AIDS / バーチャルコミュニティ / 当事者参加 / インターネット / ヘルス・プロモーション / ポータルサイト |
研究概要 |
本研究では、日本のHIV陽性者を利用対象として、ネット上での情報源及びバーチャルコミュニティを再構成して提示し、そのことが、実際に彼らのヘルス・プロモーションにどのような影響を及ぼすのかを、実践的に探求することを目的とする。 2年目の平成25年度は、平成24年度に企画開発した「HIV陽性者向けの総合情報サイト(http://futures-japan.jp/)」の公開フェーズと位置付けられる。具体的には、構築したHIV陽性者向けの総合情報サイトを広く公開した。その際、このサイト自体へのアクセスを高めるために、既存のHIV関連サイトや一般向けのポータルサイト、医療情報サービスサイトなどに幅広くリンクを求めた。また、新たなリソース情報についても、管理者の承認のもとリンクできるようにする体制を整えた。また、情報環境についてのWEB調査を実施し、このWEBページのみならず、HIV関連の情報にどのようにアクセスしているのか、あるいはアクセスしていないのかについて、特に医療者から得られている情報を軸として調査した。 公開以来、平成25年度はその内容の再吟味を図り、内容面の一層の充実を図ることとした。たとえば「ニュースを見る」では約110本ほどHIV陽性者にかかわりのある国内外のニュースを紹介、「Pick Upコーナー」には「妊娠・出産を考えている人へ」を追加した。HIV陽性者の日常を紹介する「ブログを読む」も計10リンクに増やし、セルフチェックコーナーには「睡眠のセルフチェック」を追加した。 2014年4月24日現在でユーザー数は12,399、ページビュー数55,690、セッション数23,708(週平均約400)、新規セッション割合は51.9%となっており、一定の成果はおさめていると考察される。しかし一方で、ユーザー数、ページビュー数、セッション数いずれも横ばいの状況にあり、今後の発展をどのように持っていくのかが課題と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報環境についてのWEB調査査データは、2013年2月に実査終了後データクリーニングに入った。しかし、データクリーニングに予想以上の時間がかかり、平成25年度中にはデータ分析には至っていない。また、聞き取り調査による利用実態調査を予定していたが、これらについても、量的調査を踏まえて行うこととなっていたために、現状ではできていない。しかし代替的に、アクセス分析を入念に行うものとし、その結果を踏まえた内容の修正を図るものとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年については、ポータルサイト「HIV陽性者向けの総合情報サイト」について、その全体を統括的に評価し、今後のあり方について示唆を得るものとする。特に、サイトの聞き取り調査による利用実態調査を実施し、アクセス分析結果や量的調査分析結果と統合しつつ、修正すべきポイントを洗い出し、バーチャルコミュニティとしての機能をより明確に果たすサイト構築を図るものとする。さらに、学会発表や論文発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
量的調査分析が、データクリーニングが予想以上に長引いたため。それにともない質的調査実施が延期されたこと。 HIV陽性者の情報環境についての量的調査データの分析を実施する。本研究で開発・公開したポータルサイトについて質的調査を行いその分析を行う。
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