研究課題/領域番号 |
24650450
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
一之瀬 真志 明治大学, 経営学部, 准教授 (10551476)
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研究分担者 |
鈴井 正敏 明治大学, 経営学部, 教授 (10187693)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | スポーツ免疫学 / 循環調節 / 自律神経調節 / NK細胞 / 末梢反射 |
研究概要 |
運動時には,循環血液中の白血球数が増加する.これは,身体活動にともなう外傷や出血などに対して極めて効果的な生体防御システムであると考えられる.運動時の白血球数増加は,主に末梢血流量増加やカテコールアミン分泌増加によって起こると考えられているが,血中免疫細胞動態の制御メカニズムには不明な点が多く残されている.平成24年度においては,筋代謝受容器反射が血中免疫細胞動態に及ぼす影響を検討することを目的とした.実験では静的ハンドグリップ運動後に阻血する方法で筋代謝受容器反射を賦活した.これにより血流量の大きな増加なしに交感神経を活性化することができ,その影響を検討した. 被験者(10名)は,5分間の安静状態での測定の後,最大随意筋力の50%での静的ハンドグリップ運動を1分間行った.運動の終了直前に上腕を240 mmHgの圧で6分間阻血する阻血条件と阻血を行わないコントロール条件を設定して比較した.阻血期間中は,運動中に産生された疲労物質が前腕部に留まり,これにより筋代謝受容器反射を選択的に賦活することができる.運動前の安静状態および運動後4分目と11分目に採血を行った.阻血条件では,動脈血圧と心拍数が上昇し,血漿アドレナリンとノルアドレナリン濃度が増加した.白血球の動態では好中球をはじめとする白血球分画には変化は見られなかったが,リンパ球分画におけるNK細胞(主要分画であるCD56dim NK細胞)濃度だけが増加した.また,このNK細胞濃度の増加に伴い,傷害活性(Effector : Target = 20:1)が増加した.これらの結果から,NK細胞の循環血への動員には,他の白血球分画に比べてカテコールアミンが強く関与することが明らかとなった.本研究の成果は,運動時における血中免疫細胞動態の制御メカニズムの解明を進めるうえで貴重な資料となると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画は,大きな変更や問題がなく進めることが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度では,平成24年度に得られた研究成果を踏まえて,運動時の血中免疫細胞動態の制御メカニズムについてさらなる検討を加える予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては,免疫測定用の抗体の購入費用,他動式運動装置の購入費用,被験者と研究協力者(医師)への謝金,学会発表のための旅費などに研究費を使用する計画である.
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