研究課題
挑戦的萌芽研究
本年度は、身体のバランスの崩れや痛みや不定愁訴を訴える大学生を対象に先ず整形徒手理学療法を用い、検証した。被験者は21~30歳の成人男性4名を対象とした。いずれの被験者も深刻な症状ではなかったが、慢性的な腰痛や違和感(被験者AとB)、長時間、座位などの姿勢を保持していると痛みを感じる(被験者CとD)といった腰痛症状を訴えていた。被験者は、医師および理学療法士による問診後、本整形徒手理学療法による施術を週1回の頻度で6週間、計6回行った。測定は、痛みの評価としてVAS、日常動作に対する腰痛の影響の評価としてODI、そして腰痛によって日常動作中に感じる制限や困難さの評価としてPSFSの主観的評価を行った。また、前屈可動域評価としてFTF test、片足立ちによるバランス機能評価としてStork testを開眼および閉眼で行った。測定は各施術の前後および、全6回の施術が終了してから3~5日後の計13回測定し、各データの経時的変化を調べた。結果、問診で痛みによる前屈動作の制限を訴えていた被験者Aは、3回目の施術前後から症状の改善が見られ、施術期間の前後ではVAS、PSFS、FTF test、および前屈時の脊柱可動域は大幅に改善した。被験者BもVAS、PSFS、そしてODIといった主観的評価に改善が見られ、日常的に感じていた腰部の痛みや違和感が軽くなった。一方、被験者Cは当初感じていた後屈時の痛みは改善されたが、それ以外の変化は見られず、被験者Dはそもそも痛みをほとんど感じていなかったため、各数値とも大きな変化はなかった。また、バランス機能評価として用いたStork testは開眼課題では被験者CとDが持続時間が向上し、閉眼課題では全被験者とも顕著な変化はなかった。以上、腰痛に対する本徒手理学療法の有効性が確認された。今後例数を増やし、検証する。結果は順次まとめ、学会発表する。
3: やや遅れている
本研究は、矯正施術による骨格の歪みの改善が身体の動きと精神にどのような影響を及ぼすかを検討し、心身の整合性が取れている状態がどのようなものかを探ることが研究の目的であった。当初の計画では、初年度に矯正施術による急性的効果を運動制御とバイオメカニクスの観点からも調べる予定であったが、まず徒手療法による身体機能の改善効果の定量化が重要であると判断し、理学療法士に協力を仰ぎ、施術による急性的および継続的な機能改善を評価した。その結果、徒手療法は十分に身体機能改善効果が認められることが分かった。当初計画していた、歩行メカニクスの運動制御・バイオメカニクス的解析は次年度以降としたい。また、本研究は当研究室の従来の方法では適当な被験者を募ることが難しいことが分かったため、積極的な被験者確保活動を行う。
25年度の研究実施計画では、継続的な骨格矯正施術が静的および動的動作制御や精神的健康胴に与える効果とその関連性の変化について当初の計画通り実施する予定である。また前年度検討する予定であった徒手療法による歩行メカニクスの変化について、本年度の実験計画に組み込んで同時並行で行う。結果は順次まとめ、学会発表していく。
次年度の予算は、1,155,664円である。その使用内訳は以下の通りとする。物品購入費(500,000円)、学会参加費(150,000円)、謝金(100,000円)、人件費(150,000円)、残りを消耗品購入費(255,664円)に充てたい。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 備考 (4件)
Journal of Applied Biomechanics
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