認知症高齢者を対象とした『生活再構築アプローチ』(以下,生活アプローチ)の開発に向けて,平成25年度は認知症対応型共同生活介護(以下,グループホーム)の現地調査並びに文献調査で収集したデータの分析と「生活アプローチ」の方法論の再考,研究成果のまとめと成果報告,海外研究者を招聘した報告会の開催を行った. 1)調査結果の分析と「生活アプローチ」の方法論の再考:研究代表者と研究分担者は,グループホームの現地調査で前年度までに収集したデータを詳細に分析した.さらに,研究代表者は,平成25年度からの文献調査を継続して行った.これら2つの調査結果と,これまでに実施した調査施設職員並びに国内外の研究者との意見交換の結果を照合し,「生活アプローチ」の方法論を再考した.その結果,認知症高齢者が日常の活動を自分らしく行うために必要な環境の要素が明らかとなり,「生活アプローチ」の開発に向けた理論的基盤と基本方針を得た. 2)研究成果のまとめと報告,海外研究者を招聘した報告会の開催:研究代表者と研究分担者は,平成26年度に開催された国内外の学会(2箇所)と講演会(3箇所)で研究成果を報告した.この他,平成27年度に開催される学会で成果を報告する(発表確定).また,研究代表者は,文献調査で得た知見に基づき,「生活アプローチ」に理論的基盤を提供する論文を作成した(掲載確定).さらに,研究成果の最終報告として,研究代表者と研究分担者は,スウェーデンで認知症高齢者の日常生活とナラティブに関する研究を行っているカロリンスカ大学の浅羽エリック氏を招聘し,認知症高齢者のケアやリハビリテーションに携わる保健医療福祉従事者並びに研究者を対象とした公開報告会『認知症高齢者の作業とホーム』を開催した.この報告会で,研究代表者と研究分担者は,作業科学と医療人類学の視座からそれぞれ研究成果の報告を行った.
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