研究課題/領域番号 |
24650458
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
望月 和樹 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (80423838)
|
研究分担者 |
林 久由 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40238118)
石原 顕紀 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (70432193)
|
キーワード | 絶食-再摂食 / 栄養素消化吸収関連遺伝子 / ヒストン修飾 / Pre-mRNA / クロマチン / mRNA分解 |
研究概要 |
(1)アフリカツメガエルの絶食‐再摂食応答 アフリカツメガエルを21日間絶食させると、小腸の脂質の消化吸収関連遺伝子(L-FABP、I-FABP)およびそれらの転写因子(CDX-2, FXR)の遺伝子の発現が顕著に低下した。その一方、それらの遺伝子発現は、再摂食一日後に非絶食群と同等のレベルまで回復した。さらに、これら遺伝子上のヒストンアセチル化、ヒストンH3リジン4番目(K4)モノメチル化、ヒストンH3K36モノメチル化、ヒストンH3K36トリメチル化、PolIIおよびPolIIのリン酸化量が絶食によって顕著に増大した。さらに、これら遺伝子のPre-mRNA量/mRNA比は、絶食によって低下しなかった。以上の結果は、絶食時のアフリカツメガエルの小腸では、脂質消化吸収関連遺伝子周辺のヒストン修飾を促進させPre-mRNAの合成量を維持し、再摂食に備えていることが明らかとなった。 (2)ラットの絶食-再摂食応答 SDラットへ3日間の絶食刺激を与えたところ、小腸の糖消化吸収関連遺伝子(SGLT1、GLUT5ならびにSI)のmRNA量は顕著に低下した。再摂食24時間後に、GLUT5遺伝子の発現は増大したが、SGLT1は増大しなかった。 SGLT1遺伝子周辺のヒストンH3アセチル化、PolII、アセチル化ヒストン結合タンパク質Brd4の結合量は、絶食-再摂食によって変化しなかったが、GLUT5遺伝子周辺では増大した。これらの結果は、ラットSGLT1遺伝子発現の再摂食による応答不全の原因として、クロマチンの応答低下が考えられた。一方、タンパク質消化吸収関与遺伝子のmRNAは、再摂食による応答は見られなかったが、Pre-mRNAの発現量は再摂食によって顕著に増大した。それゆえ、タンパク質の消化吸収関連遺伝子の再摂食後の応答不全は、mRNAの分解レベルでの調節であることが考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットにおける小腸消化吸収機能応答不全の原因が、クロマチン応答不全および mRNAの分解促進であることが、アフリカツメガエルと比較することによって明らかとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はこれらの結果を踏まえ、ヒストンアセチル化修飾やメチル化修飾を促進する薬剤をヒト小腸様培養細胞ならびにラット小腸に投与することによって、ラット・ヒトの小腸消化吸収機能を早期の回復に対する試みを行っていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度にChIPアッセイを多く行うために、25年度の予算を一部、26年度で使用する予定である。 ChIPアッセイに使用する試薬を購入する予定である。
|