研究課題/領域番号 |
24650463
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研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
成清 勝博 広島商船高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (70218056)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 色覚異常 |
研究概要 |
身体障害者に対するバリアフリーが様々な形で浸透してきたが、その中にあって色覚異常者に対する支援は遅れていると言わざるをえない。例えば、東京の地下鉄の路線図は見やすさのために色分けされている。このような色分けは健常者に対して一般に有効であるが、色覚異常者にとっては、かえって判別が困難となってしまう場合も多い。しかし一方で、色覚異常者でもモノクロ化された画像であれば容易に判別できることも多い。本研究では、与えられたカラーの図面や画像を色覚異常者でも判別できるようにモノクロ化するプログラムを開発することを目的とする。 これまでに、単純な画像(単にモノクロ化すると領域の区別が出来なくなる)に対するモノクロ化のプログラムは一応完成しているが、領域の数や色数を増やした画像に適用出来なかった。平成24年度は、改良したプログラムを東京の地下鉄マップの一部に対して適用した。ノイズを含むJPEG画像には46,854色が含まれている。画像の背景、駅名領域を対象から外し、色のついている路線部分のみを対象とし、13色に減色することが出来た。この13色のそれぞれの領域に異なる明るさで描画するとモノクロ画像に変換できる。ただし、13段階の灰色の識別は困難なので、斜線等を用いるなどして識別できるよう工夫が必要である。減色するまでの成果を国際会議World Academy of Science, Engineering and Technologyで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
領域の数や色数を増やした画像に適用するため、以下の項目に関して改良を行った。 ①領域分割 ソーベルアンプのみを用いてエッジ検出を行っていたが、精度が低かったので、明度、彩度等も用いてのエッジ検出の精度を上げた。前処理として、背景領域、文字領域を除去した領域に対してのみ領域分割を行った。②各領域のグループ化 本来同じ色の分断された2つの領域が①によって分割され、各領域が平均色で塗りつぶされると、異なる2色になってしまう。そこで、すべての領域に対してクラスター分析を用いてグループ化を行う。ただし、領域数が増大すると、メモリの関係か計算が出来なくなってしまう。そこで、画像を分割し、領域数を減らして対応した。 具体的には、東京地下鉄マップを使用した。領域数の増大を押さえるために、東京駅周辺の部分画像を対象にした。画像内には白色の背景、黒の駅名、JRの路線が含まれている。そこで、輝度値が低い領域と彩度が低い領域を対象から除外することで、背景等を処理対象から除去した。 以上のように、複雑な画像に対して、ノイズを除去し、色数を減らすまでは計画通り実施できた。最終のモノクロ化の部分が未完成である。5色程度であれば、異なる明るさの灰色のみで識別可能であるが、10色程度の場合輝度値のみでは認識が難しくなる。ただし、輝度値の異なる背景に模様などを追加することは比較的容易なので、モノクロ化部分の実装は困難とは思われない。 また、計画どおり研究成果を国際会議で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
地下鉄マップ(JPEG画像)の部分画像に適用したアルゴリズムを他の部分に適用する。全体図を何枚かの部分画像に分割し、それぞれの画像のノイズを除去し色数を減らす。次に、部分画像を連結し、色の類似性を考慮して、グループ化し全体で色数を減らしモノクロ化する。 JPEG画像への適用が可能になったら、そのアルゴリズムが、スキャンしたカラー画像や、ディジタルカメラやタブレット端末で撮影された画像にも適用可能か確認する。不具合が生じた場合その対策を考える。 研究成果を国際会議等で報告する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めるために必要な参考図書の購入 国際会議の登録料、旅費 画像入力機器(カメラ、タブレット端末等)の購入 必要に応じて、データ処理の謝金
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