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2012 年度 実施状況報告書

アパレル水系洗浄プロセスへの大気圧プラズマ処理の導入

研究課題

研究課題/領域番号 24650467
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関奈良女子大学

研究代表者

後藤 景子  奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (30243356)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード大気圧プラズマ / モデル洗浄系 / 人工汚染布 / 洗浄性 / ステアリン酸 / 殺菌性 / ポリエステル / 接触角
研究概要

水系洗浄の前処理として, 気相中での処理が可能な非平衡大気圧プラズマジェット利用することを検討した.
プラズマ前処理の洗浄効果を調べるために, まず, ポリエステルフィルムにステアリン酸汚れを付着させ, 顕微鏡画像処理法によりフィルムに付着した汚れを二値化する方法で, 洗浄前後の汚れ量を求めて洗浄性を評価した. 洗浄前のプラズマ処理により, 水, アルカリ水溶液および界面活性剤水溶液, いずれの洗浄液中でも汚れ除去が促進される傾向が認められた. 次に, ステアリン酸汚れをポリエステル布に付着させて人工汚染布を作製し、洗浄前後の表面反射率変化から洗浄性評価を行ったところ、洗浄前のプラズマ処理によりステアリン酸汚れの除去が促進され, 再付着が抑制される結果が得られた. ポリエステル布の洗浄性向上はステアリン酸汚れのみならず, オレイン酸汚れやカーボンブラック汚れでも確認された.
プラズマ処理前後のポリエステルおよびステアリン酸膜に対する水の接触角を測定した結果, いずれもプラズマ処理後のほうが小さく、表面親水化が起こっていることが確認された. このことから,プラズマ処理により汚れや基質が親水化され, 洗浄媒体である水にぬれやすくなって洗浄が有利になったと考えられる.
さらに, 布に黄色ぶどう状球菌を付着させ, プラズマ処理前後の生菌数を調べたところ, プラズマによる殺菌効果が確認された。洗浄前の被洗物のプラズマ処理により, 汚れ除去とともに菌の繁殖や臭いの発生を抑えて衣服の清潔を維持できる可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

モデル系や人工汚染布を用いたポリエステル表面の洗浄性評価がほぼ完了し, 水系洗浄の前処理としてのプラズマ処理効果が確認できた. また, プラズマ処理による汚れや繊維の親水化が確認された. このように, 洗浄実験データの集積と解析が順調に遂行している.

今後の研究の推進方策

ポリエステル以外の布を用いて人工汚染布を作成し, プラズマ処理の洗浄効果を調べる. また、水晶振動子を用いてモデル洗浄系を作製し、洗浄前後の汚れ重量を定量する方法で、プラズマ処理効果をより明らかにする.プラズマ殺菌への処理時の熱の影響を明らかにするために,カビに対する効果を調べる.さらに, プラズマジェット処理による布の損傷の有無を調べるため, 処理前後の布の黄変や引張強伸度, 並びに染色堅牢度を測定する.

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は海外調査のための旅費枠を計上していたが、海外出張を見送ったので未使用額が発生した。
前年度の未使用額を合わせてモデル洗浄系を構築するための水晶振動子計測システムを購入する.
洗浄実験および布の損傷試験を行うための布,試薬,ガラス器具を購入する.
抗菌性試験は依頼試験とし,そのための検査料に使用する.
研究成果発表のための学会出張費(国内2回)および論文別刷代に使用する.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Improvement of soil release from polyester fabric with atmospheric pressure plasma jet2013

    • 著者名/発表者名
      K. Gotoh and S. Yoshitaka
    • 雑誌名

      Textile Research J.

      巻: 83 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1177/0040517513478454

    • 査読あり
  • [学会発表] 汚れの水系洗浄性に及ぼすプラズマ前処理効果の検討2012

    • 著者名/発表者名
      後藤景子・吉高志穂
    • 学会等名
      第44回洗浄に関するシンポジウム
    • 発表場所
      奈良女子大学
    • 年月日
      20121120-20121121
  • [学会発表] Investigation of detergency improvement in aqueous systems using artificially soiled fabrics2012

    • 著者名/発表者名
      Keiko Gotoh, Kokoro Harayama and Shiho Yoshitaka
    • 学会等名
      World Congress on Oleo Science (WCOS2013)
    • 発表場所
      アルカス佐世保
    • 年月日
      20121001-20121004

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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