研究課題/領域番号 |
24650471
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
水谷 千代美 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (00261058)
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研究分担者 |
梶原 莞爾 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (10133133)
森川 英明 信州大学, 繊維学部, 教授 (10230103)
佐古井 智紀 信州大学, 繊維学部, 講師 (70371044)
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キーワード | 消臭抗菌繊維 / 消臭性評価 / 空調 / 個人対応型消臭システム / 寝たきり高齢者 |
研究概要 |
高齢化が急速に進んでいる我が国では、寝たきり高齢者が多いことが問題視される。寝たきり状態になると、生活の大半をベッド上で過ごすために、病院・介護施設では、排泄物臭、消毒液臭、体臭などの悪臭が大きな問題となっている。本研究では、身体起源の悪臭(排泄物臭、体臭)に対して消臭繊維を用いて悪臭源近郊でできるだけ効率よく消臭するシステムを構築することを最終目的とし、高齢者施設の室内環境を考慮した消臭性評価法を確立することを目的とした。 本研究では、身体起源の悪臭として尿臭および汗臭の原因物質であるアンモニア(NH3)に対する消臭繊維の消臭性を評価した。これまでの消臭性評価法は、検知管法およびガスクロマトクラフィ法によって静的な方法で評価されてきた。悪臭は空気の拡散や室内の換気量、換気回数などによって臭いの感じ方が異なる。本研究では、室内環境をシミュレーションして、我々が作成した円筒型消臭性評価装置を用い、室内の悪臭流速が消臭繊維の消臭効果に与える影響を調べた。アンモニアガス(20ppm)の流速(1.2m/sec,0.3m/sec,0.15m/sec,0.05m/sec)を変化させて消臭効果を調べた結果、流速が速いほど消臭効果が低いことがわかった。さらに、環境温度(20・28℃)と湿度(30%・75%)を変化させて消臭効果を比較したが顕著な差は得られなかった。 次に、寝たきり状態を想定し、尿が体温により温められて悪臭が発生する状態をシミュレーションした装置を作成し、消臭繊維の消臭効果を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、全体的に目標とした時期より少し遅れ気味である。動的な消臭性の測定に思ったより時間がかかってしまったが、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1)病院や高齢者施設の室内を想定した評価装置を用いて、悪臭の流速、換気量、試料の形状などが消臭抗菌繊維の消臭性に与える影響を測定する。 2)寝たきり高齢者を想定して等身大のサーマルマネキンの腋下および股間から悪臭(アンモニア臭)を発生させる。このマネキンに我々が開発した着脱しやすい衣服、寝具およびベッド周辺にフィルターを装着させ、アンモニア臭の拡散挙動や消臭効果を調べる。この実験は、介護施設・病院を想定して、人(サーマルマネキン)と衣服(消臭繊維)と環境を一つの系としてとらえ、衣服、寝具、フィルターの消臭能力、衣服の開口部、デザインによる違いが消臭性および悪臭の室内への拡散に与える影響を調べる。アンモニアは水と反応するために、環境湿度、環境温度、室内循環空気速度が消臭性に与える影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は、デンマーク工科大学室内環境実験室アーセン教授のもとでおこなったために、必要な経費はアーセン教授が負担した。結果として、予算を繰り越しすることとなった。 薬品、試料などに使う予定である。
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