家庭では、寛ぎ、就寝、家庭内労働などのための衣服が着用される。その衣生活は身近でありながら、個々の生活の中に隠されたものである。本研究の目的は家庭の中の衣生活の変容から、家族関係、生活空間・時間の多様性といった、家庭生活の在り方を明らかにすることである。家庭内労働用のエプロンについて、第二次大戦以降の着用実態から家事労働とそれを担う人との関わりを分析し、衣服が生活に及ぼす力を考察した。 女性による家事労働が前提であるエプロンは、その女性性が強調され、それを否定するために、着用減少の要因になった。しかし、1990年代以降の家庭内の男女協同が前提となったエプロンは、家族の親和性を高めている。
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