名古屋市近郊の住宅地において、既存住宅と高断熱住宅(次世代省エネルギー基準相当の可能性がある住宅)に居住する主たる家事担当者を対象にアンケート調査を行った結果、①家事作業時の暑さ感では、両住宅区分ともに、「暑さで困る、何とかしたい」との回答が半数を超え、特に、40代以下の若い層では「暑さで困る」との回答が多いこと、②既存住宅はもとより、高断熱住宅においても、家事作業時の冷房利用は、くつろぎ時に比べると少なく、冷房利用によって快適性を得ているとは限らないこと、③家事作業時の防暑行為は、日常生活における防暑の工夫と関連があり、「工夫高」の人は、家事作業においても「窓開放」をはじめとする様々な防暑行為を行っていること、などがわかった。 この結果を受けて、1日の家事作業の流れ、暑さ感や防暑行為、家事作業時および居間の温湿度などについて、インタビュー調査と実測調査を行った結果、①家の中をあちこち移動して行う家事作業時の温度変化は、同一時間帯の居間の温度変化よりも大きく、高断熱住宅よりも既存住宅の方がより大きいこと、②家事作業時には必ずしも冷房を使っておらず、その理由は、アンケート調査結果と同様に、「あちこち移動するので効果がない」「冷えた部屋とそうでない部屋の温度差が嫌」などであること、③朝夕の涼しい時間帯に家事作業を行える場合には暑さ感は軽減されるが、子どもが成長期の若い世帯など、昼間にも家事作業を行わざるを得ない場合には暑さ感が強いなど、家事作業時の暑さ感は、家族の成長段階や家族構成にも影響されること、などがわかった。 家事作業時の暑さ感の緩和には、高断熱高気密化とともに、自然な方法による防暑の工夫や防暑行為も取り入れ、住宅の内部空間全体が、できるだけ均一な温熱環境となるような住まいや住まい方が有効であると考察された。
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