研究課題/領域番号 |
24650482
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
永井 竜児 東海大学, 農学部, 准教授 (20315295)
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研究分担者 |
川上 茂樹 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (90432509)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メイラード反応 / 褐変反応 / AGEs / メラノイジン / 味噌 |
研究概要 |
食品の加熱調理および長期保存に伴い、メイラード反応後期生成物(AGEsもしくはmelanoidins)が生成する。我が国では特に味噌や醤油、海外ではコーヒーやビールなどの褐色色素の形成、香気及び味覚成分として長きにわたりAGEsの研究が行われてきた。しかし最近、AGE高含有食品を継続的に摂取すると糖尿病の発症率が増加するという報告が数多くなされ、我が国の伝統的食品の安全性に不安と疑問が投げかけられている。AGEs高含有食品の危険性に関する情報が錯綜する理由として、①AGEsは単一構造ではないこと、②正確な定量が困難であり食品中AGEs含量の情報が統一されていないことがあげられる。今回、特に味噌に焦点をあて、AGEsの定量、生物学的影響に対する評価を行い、安全性評価のみならず、新たな品質評価の指標を構築する。具体的には、味噌1gを量りとり3mLの蒸留水を加えてテフロンホモジナイザーにてホモジナイズした後、上清をタンパク定量、アセトン沈殿にて脱塩し、5-20%グラジエントのSDS-PAGEで解析を行った。しかし熟成した味噌ではSDS-PAGEでバンドが検出されなかったことから、熟成に伴ってタンパクの大半はペプチドレベルに分解されていたと考えられる。次に食品の色素成分を抽出するホクエツHSあるいはセパビーズ樹脂にかけ、味噌中の色素成分の単離を行った。その結果、ホクエツHS樹脂で効率良く色素成分が単離され、現在解析を進めている。また熟成味噌において既知AGEs構造であるNe-(carboxymethyl)lysine (CML)が液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置(LC-MS/MS)で測定が可能となり、CMLは熟成期間に応じて増加する傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
熟成味噌からタンパク成分を単離し、熟成味噌に対するモノクローナル抗体の作製を計画していたが、熟成味噌ではタンパクの大半がペプチドレベルに分解を受けており、分子量の大きいタンパクが十分量得られなかった。そこで味噌や醤油等の色素成分を単離する樹脂を用い、まず色素成分の単離を行った。色素成分の単離が可能となり、現在、更に解析を進めている。同時に、味噌において、既知AGE構造体として知られるNe-(carboxymethyl)lysine (CML)の測定系を検討し、実際LC-MS/MSで測定が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
ホクエツHS樹脂で効率良く単離された色素成分をさらに精製し、NMRで構造解析を行う。その後、熟成期間や品種の異なる味噌、醤油、その他、AGEs生成が関与することが知られるコーヒー、ビール、ワイン、各種保存食品において、単離された構造(構造X)をLC-MS/MSで測定する系を確立する。そして、官能評価で調べた各種食品の香気・風味とAGEs含量との相関性を品目別に示したデータベースを作成する。および、味噌の熟成に伴う変化ならびに味噌の品種に伴う含量変化を評価する。 また、構造Xをヒト血清アルブミン(HSA)にコンジュゲートし、構造Xに対するモノクローナル抗体を作製し、免疫化学的な簡便な構造Xの測定系を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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