研究課題/領域番号 |
24650483
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
土居 幸雄 京都女子大学, 家政学部, 教授 (40172233)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 起泡性タンパク質 / 卵白アレルギー / グアー |
研究概要 |
タンパク質の種々の機能特性は、食品の物性・テクスチャーに大きく影響する。本研究では、グアーミール(種皮・胚芽部)に含まれ、高い起泡性と泡沫安定性を併せ持つタンパク質タンパク質GFA(guar foaming albumin)の食材としての可能性を検討する目的で開始した。つまり、GFAの起泡特性に加えて、他の機能特性(ゲル化性、乳化性)や調理特性について調べ、主要な食物アレルゲンである卵白に替わり得る、アレルゲン・フリーの植物性タンパク質GFAの食品への利用を考えることにした。GFAの主成分はSS結合を持つ比較的低分子のタンパク質で、卵白の10倍の起泡性を示すことが知られている。GFAの高い起泡性を考慮すれば、界面において両親媒性を示すことは明らかであり、高い乳化特性を持つ可能性が期待できるので、まず乳化性の検討を行った。 (方法)エマルションの調製:GFAとBSA(牛血清アルブミン)の濃度の異なる試料、および落花生油容量比の異なる試料を作成し、ポリトロンで8,000rpm×30sec×2回撹拌した。乳化活性の測定:エマルションを1000rpm×2min×1回の遠心分離を行い乳化部分0.1%トリトンX-100で希釈後、濁度を測定した。エマルションの安定性:顕微鏡観察により平均脂肪球サイズの変化を測定して求めた。 (結果・考察)タンパク質濃度と濁度、および油容量比と濁度の関係から乳化容量を評価すると、GFAはBSAに比べて低かった。また乳化活性値は、1~15mg/mlどの濃度においてもBSAの方が高い値を示したので、GFAの乳化活性はBSAに比べるとやや低いことが判明した。また、平均脂肪球サイズの経時的変化から乳化安定性を評価すると、平均脂肪球サイズ変化はある程度以上の濃度であれば小さく、GFAは比較的良い乳化剤であると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画した実験としてGFAの基礎的物性解析やタンパク質化学的分析を考えていた。このうち、起泡性の前提となる表面張力の低下を様々な条件で詳しく測定する実験が遅れている。タンパク質科学的分析については進行中であり、全体としてはやや遅れていると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
乳化活性については、もう少し条件(温度、添加物など)を変えて測定してゆき、食品素材としての性質を確認したい。これまでの乳化実験では、全体的に平均脂肪球サイズが大きかったことから、この点についても検討が必要である。GFAの精製については、イオン交換クロマトグラフィーなどにより進行しているので引き続き精度を高めて実験を継続する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用の研究費が生じた主な理由は、購入を予定していた画像解析にかかる顕微鏡用デジタルカメラの購入費用が大幅に減額したことである。 タンパク質精製の過程や来年度計画しているアレルゲン性の確認を行う実験を効率よく行うため、マイクロプレートリーダーの購入を予定している。
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