研究課題/領域番号 |
24650483
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
土居 幸雄 龍谷大学, 経済学部, 教授 (40172233)
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キーワード | 表面張力 / グアーミール / 起泡性たんぱく質 |
研究概要 |
本研究は、食品添加物として利用されるグア-ガムの精製の際に廃棄されるグア-ミール(種皮・胚芽部)に含まれ、高い起泡性と泡沫安定性を併せ持つタンパク質タンパク質GFA(guar foaming albumin)の食材としての可能性を検討する目的で開始した。今回は、食材として利用する場合を想定し、GFA溶液の表面張力を各種条件下で測定し、食品素材としての基礎データを収集した。 リン酸緩衝液を用いてウィルヘルミー法により表面張力のタンパク質濃度依存性を調べたところ、食塩、ショ糖、メルカプトエタノール(ME)の有無にかかわらず、いずれの場合もGFA濃度の上昇にともない表面張力は急激に減少した後、0.05 ~0.1 mg/mL付近から漸減し45~50 mN/mまで低下した。食塩存在下(0.1 M)では、表面張力の低下はより大きく、高タンパク質濃度(1 mg/mL)では45 mN/mまで低下した。OVAの場合は、食塩添加の影響はそれほど大きくなかった。ショ糖添加による表面張力の変化への影響も食塩の場合と同様にみられたが、OVAの場合と同程度であった。これに対して、ME添加の影響はOVAで大きく、GFAで小さかった。表面張力のpH依存性を調べたところ、GFA溶液の表面張力はpH 4付近で最小となり、等電点の近いOVAと同様な変化を示した。 表面表力のタンパク質濃度依存性から、GFAの水-空気界面への吸着はいずれの条件でも0.05 ~0.1 mg/mLで飽和に達すると考えられた。また、GFAの界面吸着は、OVAと比較した時、水溶液のpH や塩濃度に大きく影響を受けたことから、GFAによる表面エネルギーの低下は分子間のイオン相互作用の影響がOVAの場合よりも大きいと考えられる。ME添加による分子内SS結合の解離による影響から、GFAの表面活性機能におけるSS結合の関与は小さいと思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画した実験としてGFAの基礎的物性解析やタンパク質化学的分析を考えていた。このうち、起泡性の前提となる表面張力の低下を様々な条件で詳しく測定する実験を進めたが、タンパク質科学的分析については進行中であり、全体としてはやや遅れていると判断される。申請者の所属変更に伴う実験整備の遅れが主な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
GFAの乳化活性については、条件(温度、添加物など)を変えて測定してゆき、食品素材としての性質を確認したい。これまでの乳化実験では、全体的に平均脂肪球サイズが大きかったことから、この点についても検討が必要である。GFAの精製については、イオン交換クロマトグラフィーなどにより進行しているので引き続き精度を高めて実験を継続する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請者が平成24年4月から所属変更し、これに伴う実験整備の遅れが主な理由である。 新しい研究室での実験設備も整いつつあり、当初の予定に従い研究を進める考えである。
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