研究課題
食事中の蛋白質が個体糖代謝に及ぼす作用は、炭水化物・脂質に比べ、十分に解明されていない。蛋白質摂取後の肝糖産生への作用の二面性が、蛋白質摂取に伴う糖代謝作用の解析を困難としている。本研究課題では、蛋白質摂取の個体糖代謝・肝糖産生に及ぼす作用を解明することを目的として検討を行った。大豆たんぱく(SPI)が、インスリン抵抗性を改善する可能性が指摘されていることから、カゼインを主たる蛋白質源とする対照高脂肪食と、カゼインをSPIに置換したSPI高脂肪食を投与し、マウスモデルでの投与実験を行った。対照高脂肪食、SPI高脂肪食のそれぞれの投与下においてマウスを飼育し、投与後4週間まで毎週随時摂食下の血漿を採取し、血糖値・血中インスリン値などの糖代謝パラメーターとともに、血中ルシフェラーゼ活性を測定した。体重・血糖値・血中インスリン値のいずれについても、SPI食および対照食の2群間において、明らかな差を認めなかった。さらに、投与後4週間で実施した糖負荷試験においても、SPI食および対照食の2群間において、明らかな耐糖能の変化を見出さなかった。そこで、肝臓糖脂質代謝関連遺伝子発現の評価を追加して検討を行った。随時摂食下での、肝臓における糖産生系酵素G6pc・PEPCKを測定したが、SPI食および対照食の2群間において、明らかな変化を見出さなかった。これらの結果から、4週間の高脂肪食負荷に対しては、SPIとカゼインの間に、必ずしも明らかな個体糖代謝・肝糖産生に及ぼす作用に差がない可能性が示唆された。
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http://inoue.w3.kanazawa-u.ac.jp/index.html