研究課題/領域番号 |
24650500
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研究機関 | 山形県立米沢女子短期大学 |
研究代表者 |
佐塚 正樹 山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 准教授 (60305852)
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キーワード | 濃厚流動食 / 混合 / 凝集 / 変性 |
研究概要 |
現在,200種類以上に及ぶ様々な濃厚流動食があるがその形態は,各栄養素・エネルギー量が定められた液体パックである. 一方,濃厚流動食使用者の栄養学的な要求はそれぞれ異なり,上述の液体パックでは個別の対応が難しい.またメーカーの説明では,液体パック同士を混ぜると変性・凝集が起きるとされ(混合使用ができれば,可能と考えられる)個別対応もできない状況である. 佐塚らはある種の濃厚流動食は混合が可能であることを初めて(昨年度実績)示し(第56回日本腎臓学会学術総会,2013年5月発表),更に佐塚は本研究成果に,多くの市販濃厚流動食は混合しても性状変化がないことも明らかにした. 一方,寒河江らは,混合濃厚流動食のタンパク質量を簡便に計算できる計算式(寒河江の式)を提唱して(全国精神科栄養士協議会雑誌,2013年,1月)おり,本研究成果と合わせることでこれまで不可能とされてきた濃厚流動食の混合による経管栄養の個別対応が可能と考えられるに至った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主に老人保健施設・長期療養施設などで使用されている主要な濃厚流動食同士を混合しても,殆ど凝集が起こらず,濃厚流動食は予想以上に混合使用が可能な可能性が出てきた.これはある意味,非常に有用な成果である.一方,殆ど濃厚流動食の凝集・固化が起きないことが明らかになったので特殊な条件での使用(乳酸菌飲料との混合)も行い,濃厚流動食の使用の可能性を幅広く検討できたので,おおむね順調とした.
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今後の研究の推進方策 |
殆どの濃厚流動食は混合使用が可能ということが明らかになりつつあり,最終年度としては混合使用は可能ということを科学的に明らかにしながら,可能な限り,講演会や学会発表(できれば論文)など発表していく予定である. 本科研費を受けてから2度も所属替えがあったので,(所属替えのない研究者にくらべれば)実際の研究期間が不足している.よって,来年度も研究を延長して,より多くの成果を上げたいとも思っているが,研究の進捗状況次第では今年度中に終わりとしたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は,10月に常磐大学から米沢女子短期大学に所属が変わる際,研究費の移管があり,最小限度の予算で効率よく研究を進めた結果,予算を使い切らなかった. 最終年度でもあるので,可能な限り,効率よく研究を進め,研究に必要な予算を使用する.実際に,これまでの研究成果で,殆どの濃厚流動食は凝集固化しない可能性が高く,よって混合使用が可能であることについて科学的に検証し,また,可能であればこれまでの成果を基に画期的な濃厚流動食の開発に着手するための研究まで進めたいので,そのためにも予算を有効に使用する計画である.
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