本研究によって試料となった濃厚流動食は混合しても固化変性しないことが明らかになった.本研究の目的は「濃厚流動食が混合すると固化変性してしまう(通説)のでこれを消化酵素などでプレ消化して投与に問題ないようにすること」であった.しかしながら,この通説は本研究によって間違いであることが明らかになり,その結果,多くの濃厚流動食は混合使用しても構わない,すなわち栄養学的に非常に有用な使用ができることが明らかになった.最初の研究段階で本研究の目的が達成されてしまったので,本研究は今回の目的を完全に達成しかつさらに濃厚流動食の使用方法についても新たな段階まで研究を進めることができた. 本研究の目的の①の固化の原因究明においては,そもそも一般的な濃厚流動食を混ぜても固化が起きない(なぜ固化するという通説があったのかが問題である)②固化防止法の発見は,そもそも固まらないので防止する必要もない.ただし,唯一,乳酸菌飲料による濃厚流動食の変質(懸濁物の発生があること)から,液体を酸性にしないことが防止法の一つであることを明らかにできた. 研究の斬新生・チャレンジ性においては,本研究の限りでは濃厚粒食の混合使用が可能なはずなのでNSTにおける濃厚流動食使用法について飛躍的な可能性を広げたと言える. 本研究をさらに発展させて,濃厚流動食の混合使用および管理栄養士の濃厚流動食使用法のスキルアップにも本研究の成果を生かせればと考える次第である. 最後に今回の極めて多大な成果を得られたことは大変貴重な研究費を頂けて研究ができたことであり日本学実振興会に心より感謝を申し上げる.
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