研究課題
生活習慣病発症の新しい要因である「成人病胎児起源説(FOAD説)」が提唱されている。これは,親世代の体験が胎児に体質変化(太りやすくなるなど)を引き起こすという考えであるが,そのメカニズムには不明な点が多い。FOAD説のメカニズムを解明するモデル系として線虫(Caenorhabditis elegans)が使えるかどうかを明らかにすることを目的に研究を行った。申請者は,これまでに飢餓を体験した線虫から生じた子線虫(次世代線虫)では,脂肪蓄積量が増加するという結果を得ている。この結果は画像解析によるものであるため,生化学的解析および機器分析によりこの結果を確認した。その結果,以下二点を明らかにした。1)線虫内ATP量が増加していることを見いだした。このことは,線虫体内でエネルギーが増加していることを示唆するものであり,脂肪量が増加するという結果を矛盾しないと考えられる。2)線虫から脂肪を抽出し,脂肪量が増加していることを機器分析により直接示した。このことは,脂肪量が増加したという画像解析結果を強く支持するものである。以上から,飢餓を体験した線虫から生じた子線虫では,脂肪量が増加していることを多面的に示すことができた。このことは,FOAD説に基づく体質変化が線虫でも起きること,したっがて,この現象を解析すればFOAD説のメカニズムの理解に貢献できうることが考えられる。このことから,本研究課題が掲げた当初目的はほぼ達成できたと考えている。
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PLOS ONE
巻: 8 ページ: 1-15
10.1371/journal.pone.0058641
http://gyouseki-db.kyoto-wu.ac.jp/Profiles/2/0000128/profile.html