日本の理科指導法論の主流は、「問題解決型」と言われる学習者主導の帰納・発見的過程を重視して、基礎的・基本的知識に到達させるものであったが、2000年頃から、教師主導で基礎的・基本的知識を習得させ、その知識を使って問題解決や探究に挑ませることを重視するものが登場した。「教えて考えさせる授業」や「知識伝達・事例化モデル」である。これら2種の方法論について、文献研究、教員インタビュー、教員対象質問紙調査によって比較研究した。その結果、(1)帰納的・発見的過程重視の可否は、前提となる知識・経験の有無に依存すること、(2)それ故、いずれか一方の方法論のみが妥当とは言えないことを指摘した。
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