研究課題/領域番号 |
24650520
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
柴田 利明 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80251601)
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キーワード | 実験・観察 / 物理 / 講義 / 大学生 |
研究概要 |
本研究は、大学の物理学の講義において、実験を取り入れた講義を行う手法の開発を行うものであるが、現在までの研究実積としては、まず、大学1年から大学院に至るまでの授業科目の中で体系的にどのような実験を取り入れられるかを検討したことが挙げられる。従来は、科目ごとに実験を取り入れることはあっても、数年にわたる系統的な導入の検討はあまりなされていなかった。教科書・演習書など大学生が用いる教材を集めて検討し、科目間の関連と発展を、実験の導入という観点から調べた。 次いで、実際の実験装置を、種々の既存の装置の一部を修理して転用したり自作したり、一部は購入して準備した。そして、担当する科目においてまず試行し、反応を見てわかりやすい装置に改良するなどの努力をした。講義を受けるまでに学生がどのような経験をし、実験・観察をしたことがあるかには個人差があり、その分布は近年広くなっているので、学生に幅広く理解できる方法になるように留意した。方針は、物理学の基本の原理的な理解を助ける実験を行うことであり、見ておどろくとか不思議に思う、というような外面的な面白さが優先するわけではない。したがって、講義内容に則して、式または文章での説明だけでは完結しない部分について理解を助けるための実験として製作した。力学、振動・波動、電磁気などが講義の基本であり、それを2年生以降にどのように発展させるか、ということを念頭において実験を考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の「研究の目的」に記述した計画を順調に実施している。実際の講義の中で実験を行い、それに対する学生の理解度を見ながら、更に改良するという循環を行っている。一般的に明らかになってきたことは、装置が複雑で高度な内容である必要はなく、物理の内容のどれか1点について、明確に演示できるものになっていればよい、ということである。物品の購入については、既存の装置を修理して活用したり、壊れた装置の一部を転用するなどし、更に自作をして、真に必要な場合に新規に部品を購入するようにしている。いくつかの装置はその駆動部分が共通にできるなるなど、装置としても系統的に製作できることがわかったので、能率が高まった。学生が自分でも自宅で実験してみようと思えるような実験が望ましく、装置は簡単だが物理の基本をよく表わしている、という装置を目指して製作した。
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今後の研究の推進方策 |
担当する講義科目の関係から、毎年いくつかの科目について実施し反応によって装置の改良をすることができるので、来年度に担当する講義の中で更に実験を実施して継続して開発を行う予定である。実験装置は共通部分は取り替えて転用できようにし、能率を上げる。研究遂行上の課題(問題点)は特になく、年ごとに実績を積んでフィードバックをかけるようにする予定である。成果を発表し、同様のことに関心を持つ他の研究者と討論をして普及を図ることも今後の方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
担当する講義の関係から、次年度の講義でも実験を行ってその反応によって更に装置の改良を行うため、第3年目にも使用額が生じた。このようにして講義の中で実践してフィードバックをかけることは有効な方法で、それによって目的に適った装置が蓄積できる。 実験装置の部品を購入するために用いる。学生が多く用いる教科書などの教材も、実験装置の製作の際に参照するので購入する。成果を発表したり他の研究者との討論をするため旅費に用いる。
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