研究課題
本研究の目的は、ケースやゲームの設計において、品質管理、エージェント等の技術を適用することで、その学習効果を測定するとともに、教材の評価が実施できる新しい手法の探索を行い、教師教育に活かすことである。この学術的な特色は、ケースメソッドとゲーミングシミュレーションを設計時の評価という観点から統一的にみることにより、学習データを分析し、学習進捗度を評価する方法を提案することにある。平成24年度は、次の3項目について研究を実施し成果を発表した。項目1)ケースメソッド学習において学習進捗状況を測定する方法論についてとりまとめ実験評価を行った。すなわち、マンガケースの開発においては、キャラクターや背景のデザイン時に、さまざまな情報を意図的に埋め込むことが可能である。これらを有効に利用するために、マーケティング分野で利用されているペルソナ法、品質管理分野で行われている直交表分析法を適用した。項目2)習熟度の測定に適応可能な人工知能の機械学習技術について、NKCSモデルを用いる手法の提案を行った。これは以下の特徴をもつ、すなわち、体験学習の効果を測定する場合は、通常の機械学習と異なり、長期間にわたる均一な学習データを得ることが不可能である。そこで、概念学習の枠組みを放棄し、逐次的に適応する反射型エージェントを中心とした仕組みを実現する。項目3)ケースメソッドとゲーミングシミュレーションを融合した新しい体験学習について検討した。このために、従来の研究成果を発展させ、さまざまなケース教材とゲーミングシミュレーションを融合する教育方法を提案を指向する。シナリオの動的な管理機能が重要となる。これにより、ゲーミングシミュレーションの長所である動的な環境の変化に対する柔軟性を活かす。
1: 当初の計画以上に進展している
昨年度は、上述した3つの項目について研究を実施してきた。それぞれについて代表的な研究発表を上で記述したが、他にも以下のように発表・論文が存在している。項目1:国際発表5、国内発表5、査読付学術論文0。項目2:国際発表3、国内発表2、査読付学術論文1。項目3:国際発表5、国内発表2、査読付学術論文2。(次項目には、この代表的なもののみを記載する) よって、本研究は順調に進捗していると評価される。本研究の特色は、ケースやゲームの設計において、品質管理における直交表、人工知能におけるエージェント技術を適用し、これによって、学習者の学習効果を測定すると同時に、教材本体や教師の教育技術そのものの評価が実施できる点にある。この基本的な考え方は、シナリオやシステムに測定項目を埋め込み、システムと学習者の双方から評価情報を得ることである。我々の研究グループ以外にこれに類似した方法は存在しないので、本分野のイニシアティブをとれる研究である。したがって、この成果を教師教育に活かすことで新たな体験学習の方法論を提案できると考えている。。
項目1)、2)、3)にしたがって、予定どおり研究を継続する。最終的な成果はペルソナ・コンジョイント法(Persona Conjoint Method; PCM)として体系化し、今後の体験学習評価に対して、適用可能な方法にまとめる予定である。また、本研究の範囲外ではあるが、提案する評価方法を利用が容易なツールキットとしてとりまとめることは今後の大きな課題である。
該当なし
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (17件) 備考 (1件)
SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration (SICE JCMSI)
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http://www.trn.dis.titech.ac.jp