本研究計画では被害が出るほど大きな地震のときにわたしたちはどのように揺れるのであろうか?という問いに対し自ら答えを探すきっかけを提供する教材を開発することを試みた。またこの教材を用いた防災教育プログラムを開発することを試みた。本計画は1)ゲーム感覚で強震動について学ぶ体験型教材の開発、2)体験を地震防災に実践的に生かすための資料型教材の開発を合わせ、新しいタイプの防災教育コンテンツを開発することを目指した。 平成26年度は体験型教材パートでは小型加速度センサーの出力信号を既存の地震波形記録と比較するソフトウェアの開発に従事した。資料型教材パートでは歴史地震の被害を整理し、震度から災害の大きさを想定することを補助する教材開発に従事した。またこれまでの成果を整理し、新しい地震防災教材の方向性について検討した。 地震波形を見た経験がほぼない人たちにとって、地震波形から実際の揺れを想像することが非常に難しい作業であるという知見をわれわれは前年度までに得ていた。この困難は平成26年度に行ったプロトタイプ教材を用いた実験でも確認され、装置を動かして波形を得るという体験を別の何かにつなげる方向への方向修正が必至であると確認した。これを受け墓石や石灯籠などの小型構造物の被害状況と揺れの大きさを関連させ「これが倒れるほど揺れ」をイメージを示せる可能性を模索した。 またいつ揺れるのかに対する関心が高いことを受け、どれぐらい頻繁に大きな揺れがあるのかに関する経験の共有する教材開発を試みた。これまで過去の震度の統計について整理し、また自分の町の歴史災害から今後の地震被害を想像するという新しい教材のアイディアについて考察した。
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