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2012 年度 実施状況報告書

新学習指導要領に対応した物質概念育成を図る化学教材の開発と実践研究

研究課題

研究課題/領域番号 24650532
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関福岡教育大学

研究代表者

伊藤 克治  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (10284449)

研究分担者 宮崎 義信  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50253365)
原田 雅章  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (00251364)
長澤 五十六  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40302351)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード実験 / 観察 / 新学習指導要領 / 粒子
研究概要

本年度は当初計画に従って4分野で以下の教材開発や実践プログラムの開発とその実践を行った。
有機化学分野では,構造異性体の関係にある二種のエステルを合成し,巨視的現象である匂いの違いの確認と分子模型や3D画像による粒子モデルを利用した微視的な(分子構造の)違いを確認するプログラムを開発した。このプログラムを実際に本学の学生実験や高校生向けの出前授業・公開講座等で実践した。また,高校理数科の課題研究に対応した有機分子触媒を用いた有機合成について教材開発を行った。
物理化学分野では, 初等・中等理科教育において,粒子の視点で観る物質感を育成するために重要な単元である「ものの溶け方」および「溶解度」と「酸の性質」,「化学平衡」を総合的に学習する高校生用の授業プログラム「ホウ酸の溶液化学」を開発し,高校生を対象に実践を行った。さらに,本学中高理科教員免許取得予定学生を対象とした化学実験授業において同プログラムを実践した。
分析化学分野では,中学校へ新しく導入された「放射線」への対応と,エネルギーと環境教育教材として活用する観点から,1)中学校の理科教員に市販の霧箱を使用して放射線の観察を体験,2)本学の学生実験「無機分析化学実験」において簡易放射線測定器を使って実際に環境放射線の測定を行った。これらの結果から,教材開発において必要な検討項目を整理した。
無機化学分野では,小学校における「粒子をイメージ化しやすい授業の開発」を目的とし,「ものの溶け方」を題材とした教材の開発を試みた。教材として,有色の銅(II)イオンを有する化合物を用い,これら金属化合物が溶ける様子を観察することにより,「溶ける」という現象を,粒子モデルで表現できることへの「気づき」を促す授業プログラムを考案し,小学校にて授業実践した。
上記の様々な実践は,参加者アンケート等の分析から有効性を実証することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記研究実績の概要欄に記載した通り,当初計画に沿って4分野で計画通りの教材開発を行うことができた。さらに,本学学生向けへの授業実践や公開講座・出前実験,高等学校理数科と連携した課題研究における実践まで行い,これについては当初計画以上の進展があった。以上のことから,本研究は「おおむね順調に進行している」と判断した。

今後の研究の推進方策

有機化学分野では前年度に開発した構造異性体の合成と巨視的な違いと微視的な違いを理解するプログラムを中高生向けの講座で実践し,アンケート分析を行う。さらに,本年度は光学異性体を取り扱うプログラムを開発する。これと並行して,有機分子触媒を用いた香料の合成について,高等学校理数科との連携による課題研究として実施する。
物理化学分野では,前年度に開発した授業プログラムを改善して教育実践する。さらに,電荷を持った粒子(イオン)の関与する化学反応を学習する教材として,環境教育との関連でも注目されている燃料電池を取り挙げる。できるだけ身の回りの材料を使って簡便に作製できる(教育現場でも作製可能な)燃料電池教材を開発し,中高生を対象とした講座で実践する。さらに,本学の化学実験授業において実践する。
分析化学分野では,前年度の検討結果をもとに,簡易霧箱の製作と放射線の観察,簡易型測定器による環境放射線等の測定をメニューとする教材をつくる。この教材を使って,教育委員会と連携した中学校理科教員研修および本学学生の化学実験において放射線教育を実施する。実施後,本教材を学校現場の理科授業で実際に使用するための検討を行ったり,実験レポートなどから教材の評価をすることにより,教材として必要な改善を行う。
無機化学分野では,「ものの溶け方」を題材とする授業プログラムの実践を小学校にて行い,授業を受けた小学生の反応を,授業進行過程ごとに細やかにチェックし,粒子モデル表現への「気づき」がどのようにおこなわれているかを明らかにする。また,授業プログラム実践後の小学生が,どの程度の「粒子概念」を身に付けたのかをアンケート等によりチェックし,授業プログラムの効果を明らかにする。
なお,本研究は概ね順調に進行していることから,研究計画の変更は予定しておらず,遂行上の課題もない。

次年度の研究費の使用計画

前年度は,教材作成後,直ちに実践を試行的に行う進め方にしたため,当初予定よりも教材開発用の経費(実験消耗品代)が少なく抑えられており,本年度に持ち越している。本年度は前年度の試行的な実践結果を踏まえて様々な教材開発とその実践を行う予定であり,当初予定の研究費と繰り越した研究費を合わせて使用する計画である。
具体的には,薬品代,ガラス器具代,実験器具代の実験消耗品代に多くを使用する予定である。これに加えて,成果発表のための出張旅費を計上している。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件)

  • [雑誌論文] Asymmetric Henry Reactions of Aldehydes Using Chiral Biaryl-Based Bis(thiourea) Organocatalysts2013

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nakayama, Yusaku Hidaka, Katsuji Ito
    • 雑誌名

      Synlett

      巻: 24 ページ: 883-885

    • DOI

      10.1055/s-0032-1318490

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鞍手高校SSHの実施と評価およびその成果の大学教育への還元2013

    • 著者名/発表者名
      沖田広道,豊釜 光宏,小田 裕,伊藤克冶,宮崎義信
    • 雑誌名

      教育実践研究

      巻: 21 ページ: 51-57

  • [雑誌論文] 科学実験を活用した地域コミュニティ形成に関する実践研究2013

    • 著者名/発表者名
      日高裕策,畑智久,中山悠希,伊藤克治
    • 雑誌名

      教育実践研究

      巻: 21 ページ: 59-65

  • [学会発表] アリル基を有するPCP pincer型Pd錯体の合成2013

    • 著者名/発表者名
      鶴田紗也佳,長澤五十六,北川 宏
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      立命館大学びわこくさつキャンパス
    • 年月日
      20130323-20130323
  • [学会発表] ビアリール型ビス(チオウレア)触媒を用いる不斉Henry反応2013

    • 著者名/発表者名
      中山悠希,伊藤克治
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      立命館大学びわこくさつキャンパス
    • 年月日
      20130322-20130322
  • [学会発表] バナジウム(V)オキソ酸とキレート樹脂官能基の錯生成反応2012

    • 著者名/発表者名
      豊釜光宏,宮崎 義信
    • 学会等名
      日本化学会西日本大会2012
    • 発表場所
      佐賀大学
    • 年月日
      20121111-20121111
  • [学会発表] ホウ酸-糖アルコール錯生成系の結合異性と熱力学的考察2012

    • 著者名/発表者名
      沖田広道,藤森崇 夫,吉村和久,宮崎義信
    • 学会等名
      日本化学会西日本大会2012
    • 発表場所
      佐賀大学
    • 年月日
      20121110-20121110
  • [学会発表] 弱塩基性陰イオン交換樹脂の酸解離とイオン交換2012

    • 著者名/発表者名
      宮崎義信,中井真理子
    • 学会等名
      第28 回日本イオン交換研究発表会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      20121018-20121018
  • [学会発表] N-置換サイクラム錯体結晶における,ハロサルファイトイオンの形成2012

    • 著者名/発表者名
      長澤五十六,高潮利実弥,大坪主弥,北川 宏
    • 学会等名
      第62回錯体化学討論会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      20120922-20120922
  • [学会発表] ホウ酸,フェニルボロン酸-アルジトール錯生成系の熱力学的考察2012

    • 著者名/発表者名
      宮崎義信, 沖田広道,藤森崇夫,吉村和久
    • 学会等名
      日本分析化学会第61年会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      20120921-20120921
  • [学会発表] ホウ素吸着剤開発を目的としたアミド結合を用いたリボース誘導体の固相内への 固定化と機能発現2012

    • 著者名/発表者名
      藤森崇夫,平川大祐,宮崎義信,吉村和久
    • 学会等名
      日本分析化学会 第61年会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      20120921-20120921
  • [学会発表] ホウ酸,フェニルボロン酸-ポリオール錯生成系の熱力学的考察2012

    • 著者名/発表者名
      沖田広道,平 野龍哉,藤森崇夫,吉村和久,宮崎義信
    • 学会等名
      第49回化学関連支部合同九州大会
    • 発表場所
      北 九州国際会議場
    • 年月日
      20120630-20120630
  • [学会発表] 燃焼合成法により合成したSrAl2O4:Euの蛍光特性2012

    • 著者名/発表者名
      桶田なな,伊藤唯,原田雅章
    • 学会等名
      第49回化学関連支部合同九州大会
    • 発表場所
      北九州国際会議場
    • 年月日
      20120630-20120630
  • [学会発表] 天然ゼオライトによる六価クロムの吸着挙動2012

    • 著者名/発表者名
      山口由加里,穴井明日香,原田雅章
    • 学会等名
      第49回化学関連支部合同九州大会
    • 発表場所
      北九州国際会議場
    • 年月日
      20120630-20120630
  • [学会発表] ホウ酸,フェニルボロン酸-ポリオール錯体の結合異性と分子認識2012

    • 著者名/発表者名
      宮崎義信, 沖田広道,平野龍哉,藤森崇夫,吉村和久
    • 学会等名
      第72回分析化学討論会
    • 発表場所
      鹿児島大 学
    • 年月日
      20120520-20120520
  • [学会発表] 寒天電解質中における金属イオンの拡散係数の測定2012

    • 著者名/発表者名
      服部英喜,原田雅章
    • 学会等名
      第72回分析化学討論会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      20120520-20120520

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公開日: 2014-07-24  

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