研究課題/領域番号 |
24650539
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
北原 和夫 東京理科大学, 科学教育研究科, 教授 (20107692)
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研究分担者 |
加納 圭 滋賀大学, 教育学部, 講師 (30555636)
横山 広美 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50401708)
高梨 直紘 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (70625714)
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キーワード | 科学コミュニケーション |
研究概要 |
平成25年度は科学コミュニケーションに関わる文献の調査、重要文献の翻訳、海外における科学コミュニケーション教育の実態の調査をそれぞれ科学技術振興機構科学(JST)コミュニケーションセンターと連携しながら研究を推進した。まず、科学コミュニケーションの概念についての検討を行った。 文献は科学の教科書から見る学校教育における科学コミュニケーションの国際比較を行った。 重要文献としては、昨年度実地調査を行ったオーストラリア国立大学のStocklmayerが編集する「Communication and Engagement with Science and Technology」の翻訳作業をほぼ完成させた。 海外調査としては、2013年10月8~9日欧州共同体(ブリュッセル)の研究・イノベーション部門と欧州博物館連合(ECSITE)を訪問し、欧州における科学コミュニケーション政策の調査を行った。2014年3月16~18日コペンハーゲン大学科学教育研究科ならびにオールフス大学経営社会学研究科を訪問し、コペンハーゲン大学において大学全体で科学コミュニケーションに取り組んでいる状況を調査した。オールフス大学では欧州共同体の調査した。欧州における科学コミュニケーションは明確な欧州共同体における科学技術の役割をもっていることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では「科学コミュニケーション学科」があるとすればどのような教育プログラムとなるのかというところまで二年間で進める予定であった。しかしながら、海外調査、文献調査を行った結果、「科学コミュニケーション」の概念自体がかなり多義的であることが分かった。オーストラリアの調査、欧州の調査から、世界的にも多義的である。オーストラリアでは理数教育と直結していて、少数民族もしくは発展途上国の政治的経済的力をつけることも大きな課題となっている。一方欧州は多様性と協調、民主主義と平和の基盤としての科学コミュニケーションである。 つまり概念の整理で二年間を費やした。しかしこのことは今後の「科学コミュニケーション学科」の構想の基礎であるから避けることのできないところである。同じ課題がJST科学コミュニケーションセンターにおける将来構想においても存在しており、この二年間で到達できた「科学コミュニケーション」の概念は、「科学を基盤とするコミュニケーション社会(協働する社会)の構築」であろう。科学技術が個人の成果と所有物である以上に「公共財」である、というところで科学技術に関するコミュニケーションが必要となる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては、JST科学コミュニケーションセンターにおける研究調査のテーマとしてさらに深め、また同センターの施策、企画という実践を踏まえた研究を進め、科学コミュニケーション教育プログラムの具体的な構築と試行を進める。とくに欧州との連携を今後も強めて政策にも繋がる科学コミュニケーション教育プログラムの在り方を追求する。欧州型の価値の多様性、民主主義、国際協調を推進して行くことは重要である。欧州では科学コミュニケータの育成を系統的に行う特別な教育機関があるのではなく、むしろ研究者、行政者、科学館職員が国際的な連携の中でon job training を行っていることが特徴的である。これら欧州の動きにも対応できる科学コミュニケーション人材育成の教育プログラムを、JST科学コミュニケーションセンターとの連携の中で今後策定して行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
分担者横山による調査(回答式調査)の時期が、その前提となる研究のゆえに次年度にずれ込んだ。 2014年4月以降5月末日までに完了の予定。それに併せて総合報告書を期限までにまとめる予定である。
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