研究課題/領域番号 |
24650543
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 鳥取環境大学 |
研究代表者 |
足利 裕人 鳥取環境大学, 環境学部, 教授 (00612342)
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研究分担者 |
中川 和道 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (00134403)
竹谷 篤 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (30222095)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 放射線教育 |
研究概要 |
エネルギースペクトルが得られ,授業時間内に組み立て・測定できる,安価な放射線検出器体験型キットの開発を進めた。現在ガンマ線のエネルギー分布が得られる段階まで進んだ。しかし,基準となるセシウム線源のピークが得られていないため,現在原因を調査中である。これが解決できれば,量産化に向けた作業に移ることができる。回路のノイズ軽減を実験している。 理科の教科書で放射線を扱う中学3年生を中心とした。簡易放射線検出器の教育仕様の検討を進めた。経済性(1万円以下,小型,電池駆動),高信頼性(低雑音,シンプル構造),実践性(はめ込み式キット,製作時間20分),視覚性(ガンマ線エネルギーのLCD波高分析表示,計数表示)が満たされるものを目指すこととした。 関東・東北を中心に,各地の土の試料を収集し,セシウムに由来するガンマ線のピークの割合をマルチチャンネルアナライザーを用いて調査している。公園など砂を入れ替えた場所や,雨などによって流出する河川の土手等は少なく,公園でも植栽の下の土や雨どいの下のように,雨が集められる箇所はセシウムが蓄積していることが分かった。また,半減期が4年のセシウム134のピークが,この1年間で減少していることも見られた。土以外に授業で利用できるマントルや花崗岩の放射線源の利用も進めている。 放射線の強度の絶対値が測定できるよう,測定方法の研究も進めている。たとえば,ガイガーカウンターの窓より何cm手前に検出器があるか分かれば,放射線の強さが距離の2乗で反比例することが検証できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガンマ線のエネルギー分布が得られたことにより,達成度は80%と評価できる。安価な部品でのピーク検出という高い目標を設定しており,1年目として教育用放射線検出器の目途がついてきている。今後は回路の誤動作によるノイズを軽減し,ピーク検出に全力を傾ける。 また,総合的教育システムとするために,国民的素養レベルの内容を精選し,検出器と合わせた講習内容やテキストの開発を進め,達成度を高めたい。
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今後の研究の推進方策 |
現在ガンマ線エネルギー分布がLCD表示されるようになったが,ノイズが原因と思われる誤動作により,セシウム由来のピークが検出できていない。早く解決し,放射線検出器のキット化の試作を行い,量産を進める計画である, 大学・理研の研究者,兵庫物理サークル教員,科学館学芸員の打ち合わせ合宿を数回行い,量産型の最終仕様を決定し,教員研修用講習会テキストを作成し,教員研修を行う。合わせて,放射線の国民的素養に必要な内容を精選し,生徒用テキストの作成を行う。 全国の中学・高校・科学館等に広報を行い,実際に組み立てて測定器の原理を学びながら,放射線について正しい理解を持ち,正しく判断し,自ら行動できる子供たちや社会人の育成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
量産型簡易放射線検出器キットを100セット製作するため,電子回路部品の消耗品代金が中心であり,残りは打ち合わせまたは学会での発表,講習会のための旅費となる。 また,キット製作の実験補助費として,人件費を計上している。
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