研究課題/領域番号 |
24650550
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
齊藤 忠彦 信州大学, 教育学部, 准教授 (10313818)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 音楽教育 / 遠隔セッション |
研究概要 |
本研究では,遠隔地にいる人同士で遠隔セッションを行うためのモデルの構築と,その検証場面で脳生理学からの検証を試みる。遠隔セッションモデルとして,当初は,簡単な設定でインターネット越しに音楽セッションやカラオケなどのデュエットを行うことができる「ネットデュエット」というシステムを用いる予定であったが,想定したよりも限られた範囲内での遠隔セッションとなってしまうことがわかった(海外との遠隔セッションはできない)。そこで,近年普及しているSkypeを用いることを検討したが,映像の安定性や音声の遅延の問題に対象するために,一般に使用され普及している高いテレビ会議システムを用いることとした。 平成24年度は海外との遠隔セッションを試みた。日本の中学校と韓国の中学校の音楽室間を光回線を用いて接続し,映像と音声はテレビ会議システムを用いた。そして,遠隔セッションを行うために,自動演奏ピアノ(グランドピアノ)を光回線で接続し,日本側で演奏するピアノが,同時に韓国側でもそのまま再現できるようにした。遠隔セッションの内容として,それぞれのピアノ演奏および鑑賞,日本側からのピアノ伴奏に合わせての日韓の合唱,韓国側からのピアノ伴奏に合わせての日韓の合唱などを組み込んだ。これらの遠隔セッションを体験した日韓の生徒を対象に質問紙調査を行ったところ,映像の画質,声などの音質,ピアノの音質などについて概ね満足という回答が得られた。また,これらの経験を通して,日本の生徒は韓国の中学生への関心を高め,韓国の生徒は日本の中学生への関心を高めるという結果を得た。なお,映像と音声またはピアノの音との遅延については,あまり気にならないという回答が多かった。なお,本セッションにおいてNIRSを用いた脳活動計測を行う予定であったが,同意を得られないという場面が生じため計測は断念した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は遠隔セッションで用いるシステムを選択することができた。海外との遠隔セッションを試行し,音声,映像ともに安定したセッションを実現することができた。
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今後の研究の推進方策 |
遠隔セッションの検証の場面で,子どもたちを対象としてのNIRSを用いての検証は同意を得られない可能性が出てきた。その場合は,20歳以上の大学生を被験者とし,検証を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度末にNIRSを用いた予備実験を行う予定であったが,実施できなかったため未使用金額が生じた。その未使用金額と平成25年度支払請求額を合算し,検証の場面で必要となるNIRSのレンタル費用および被験者への謝金等で支出する予定である。
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