研究課題/領域番号 |
24650550
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
齊藤 忠彦 信州大学, 教育学部, 教授 (10313818)
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キーワード | 音楽教育 / 遠隔セッション / 国際研究者交流 / 韓国 |
研究概要 |
平成24年度は,海外の学校との遠隔セッションを試み,自動演奏ピアノ(グランドピアノ)を光回線で接続しての同時演奏を実現し,その教育効果を検証したが,平成25年度は,ピアノ以外の楽器についてセッションを行うことができないかどうか検討した。音楽科の授業で一般的に用いられることが多いリコーダーや鍵盤ハーモニカを用いたセッションを想定し,実験的に仮想の教室を結んでのセッションを行ったが,音色が同じ楽器を用いた場合は,スピーカーから再生される音色が聴き取りにくいこと,またいずれの楽器も指先で演奏する楽器のため,演奏に伴う動作が把握しにくいこともあり,これらの楽器では,セッションは行いにくいことが明らかとなった。そこで,楽器を使用する場合は,動きが把握しやすい中型から大型の楽器や打楽器を用いる可能性について検討することとした。さらに,平成20年告示の学習指導要領で我が国の伝統的な音楽の扱いが強調されたことを受け,セッションに和楽器を取り入れることや,世界の民族楽器を扱う可能性について検討した。特に,海外の学校との遠隔セッションでは,それぞれの国の伝統楽器を扱うことの意義や成果は大きいことが,平成24年度の研究からも明らかにされている。平成25年度は,NIRS(Near Infra- Red Spectroscopy)を用いた実験も行った。実験的に仮想遠隔セッションを想定し,ピアノを用いての演奏を鑑賞しているときの脳内の活動について,前頭部,右側頭部,左側頭部の3部位に分けて脳内のヘモグロビン濃度を計測した。その結果,仮想遠隔セッションと生演奏によるセッションとの違いがないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,研究の仮説を広げ,遠隔セッションの可能性について,和楽器や民族楽器を用いる可能性について検討することができた。NIRSによる実験的な検証についても予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ピアノ等の鍵盤楽器のほか,和楽器や民族楽器を用いた遠隔セッションの具体的な授業モデルを考案し,それを実験的に検証する。よりリアルな音を再現するための音場設定の工夫も大切であるが,双方の演奏のタイミングを合わせるには映像も重要となるため,カメラアングル等を含め視覚情報の送受信や提示の工夫を試みる。なお,実験の場面では,NIRSを用いた生理学的な検証も含める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の後半に,和楽器や民族楽器を用いた遠隔セッションの可能性を検討する場面で,楽器の購入を計画していたが,予定より安く購入できたために生じた金額である。 遠隔セッションの具体的な授業モデルの考案の場面では,和楽器や民族楽器を含めた授業の可能性について検討する。その実証場面やNIRSを用いた実験場面で必要となる諸経費や資料収集のための旅費,およびプリンターのトナー等の消耗費に充てる。
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