本研究の目的は,ヒトのスキル獲得を対象として,身体知の外化・言語化のための知識表現を検討し,それらの行為への支援を意識した学習環境を探究することにある.ここでは,スキル獲得のための活動を総称して,学習と捉える.スキル獲得場面としてインフォーマルラーニングな状況での身体動作を伴う学習を対象とする.支援に際しては,学習の社会的側面を強く意識し,自己や他者の行為の成果であるプロダクトのみならず,それを得るまでのプロセスをも同期・非同期で共有する仕組みを提供する.特に,非同期でのプロセス共有により,優位な点の模倣や誤りを繰り返さない意識付け等をガイドし,スキルの獲得を支援する.具体的には,自己と他者の評価済みプロセスと,当該学習者に対して指導者が与える助言とを本申請で具体化するマッチング・アルゴリズムにより統合的に処理し,非同期にプロセス共有させ,より効果的かつ効率的なスキル獲得支援をねらう. 本研究では,3ヶ年の研究期間において以下の研究課題に取り組んだ. 1)協調的行為による個人のスキル獲得活動[プロセス・プロダクト共有型]の支援.ここでは,非同期プロセス・プロダクト共有機能によるスキル獲得支援の方法論の整理と支援技術開発をおこなった. 2)協調行為を伴うスキル獲得活動[プロセス共有型]の支援.ここでは,同期および非同期でのプロセス共有によるグループ活動支援の方法論の整理と支援技術開発をおこなった. 3)協調活動プラットフォームの整備.ここでは,スキル獲得のための支援モデル開発と,スキル獲得支援のための汎用フレームワークの実装をおこなった。
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