研究課題/領域番号 |
24650555
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
曽我 真人 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (60252839)
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研究分担者 |
瀧 寛和 和歌山大学, システム工学部, 教授 (10304180)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 学習支援 / 左右反転動作 / 利き側 / 非利き側 / スキル / 動作 |
研究概要 |
スポーツなどの身体動作において,通常のプレーヤーは,利き腕,利き足を主体とした動作は得意だが,左右を反転した非利き側を主体にした動作は不得意である.そこで,本研究では,左右を反転させた動作のスキルを学習するための学習支援手法の提案を行うと同時に,PCを用いて学習支援環境を構築し,学習効果の評価を行うことが目的である. これまでに,ウェアラブル型モーションキャプチャシステムIGS-190を用いて,身体動作計測を行い,そのデータからボーンアニメーションで動作を3DCGを用いて閲覧するシステムを構築した. さらに,学習者の利き側主体動作をモーションキャプチャシステムを利用して計測し,そのデータをPCを利用して左右反転させた動作データを生成する.この左右反転させた動作データを生成するシステムのことを特にモーションコンバータと呼ぶことにする.モーションコンバータにより生成された左右反転動作を手本動作として非利き側主体動作を反復練習する.そして,その練習動作をモーションキャプチャシステムを用いて計測し,手本動作と練習動作をCGアニメーション化して視覚的に比較できるようにした. より具体的には,左右反転した利き側の動作を手本動作として紫色の3DCGのボーンアニメーションで表現し,一方,非利き側の動作を練習動作として黄色の3DCGのボーンアニメーションで表現した.これらを,同一仮想空間で表示することにより,両動作の空間的なずれ,および,時間的なずれを視覚的にわかるようなシステムを構築した.また,スローモーションでも見れるように,再生時のフレームレートを学習者が選択できるようにした.学習者は,自身の左右反転動作である手本動作と,練習動作の違いを,三次元仮想空間内の任意の視点から観察することが可能になり,手本動作と練習動作の差異に関して気づきを得ることが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,2年間の研究期間において,左右を反転させた動作のスキルを学習するための学習支援手法の提案を行うと同時に,PCを用いて学習支援環境を構築し,学習効果の評価を行うことが目的である.このうち,「左右を反転させた動作のスキルを学習するための学習支援手法の提案を行う」ことは,すでに提案を行い,さらに,「PCを用いて学習支援環境を構築し,学習効果の評価を行う」のうち,前半の「PCを用いて学習支援環境を構築」において, (1) モーションキャプチャシステムのデータを三次元仮想空間内でボーンアニメーションとして表現するシステムを構築したこと. (2) 利き側の動作データを反転して,非利き側の動作の手本動作とするモーションコンバータを構築したこと. (3) その手本動作と,練習動作について,それぞれボーンアニメーションとして三次元仮想空間内でボーンアニメーションとして表現し,手本動作と練習動作の空間的および時間的な差異を視覚的に学習者が気づきを得られるシステムを構築したこと 以上の3点をすでに構築済みである.研究期間が半分経過した現時点で,学習支援環境のかなりの部分を構築済みであるので,これは,「おおむね順調に進展している」と言える.
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今後の研究の推進方策 |
利き側の動作データを左右反転し,それを手本動作として,非利き側の動作を学習するという手法については,学会などでは,おおむね問題ないという意見と,人間の身体は完全には左右対称ではないので,利き側の左右反転動作を手本動作とできるのかという懐疑的な意見とを得ている.すなわち,厳密には,人間の身体の骨格は完全には左右対称ではないこと,また,左右で筋力が均等ではないため,動作も微妙に違うことから,それらを熟知したうえでの学習が必要である.そこで,身体の左右差がどの程度存在するのか,それを実験的に調査することを予定している 具体的には,膝を曲げるまでのスクワットのような動作と,左右の足で片足立ちをしてもらい,その際の足底にかかる圧力を3次元歩行解析装置Motion 3D Force Plate M3Dを用いて計測し,左右差を求め,利き足や過去のスポーツ経歴に基づいて分析を行う.分析はそれぞれの動作の値について,最大値,最小値,平均値の3つの要素について左右での差,右利きと左利きの差で検証を行う.スクワットは,左右同時に圧力がかかる場合に,どれだけ負荷が分散されているかを計測することを目的とし,片足立ちは,それぞれが独立した動作では,どのように違いが現れるかを目的とする. この実験により,左右差がどの程度存在するかが明らかになる.そこで,その左右差を考慮に入れながら,学習者自身の利き側動作の反転動作を手本動作として,学習者の非利き側動作の学習を行う場合に,どのような点に注意が必要かを明らかにする. それを踏まえて,手本動作と練習動作の間に差異が生じた場合に,どのようなアドバイスを提示すればよいかを検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度では,直接経費1900千円を次のように使用する予定である.まず,物品購入費として,500千円を予定している.内訳は,データ解析用のデスクトップPCを1台×100千円,体育館などでの実験時のデータ収集用のノートPCを1台×200千円,さらに,学会でのプレゼンテーション用のノートPCを1台×200千円で,合計500千円である. 次に,旅費は1060千円を予定している.内訳は,成果発表のための国際会議出張費として,250千円×2名=500千円,そして,国内会議出張旅費として,70千円×2名×4回=560千円を予定している. 次に,謝金は200千円を予定している.具体的には,2回の実験を予定しており,実験の被験者として1名1回あたり5千円を支払うことを想定しており,5千円×20名×2実験=200千円を見積もっている. その他としては,140千円を見積もっている.内訳は,国際会議参加費が50千円×2名=100千円,国内会議参加費 5千円×2名×4回=40千円である.
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