利き側の動作データを左右反転し,それを手本動作として,非利き側の動作を学習するという手法については,学会などでは,おおむね問題ないという意見と,人間の身体は完全には左右対称ではないので,利き側の左右反転動作を手本動作とできるのかという懐疑的な意見とを得ていた.すなわち,厳密には,人間の身体の骨格は完全には左右対称ではないと,また,左右で筋力が均等ではないため,動作も微妙に違うことから,それらを熟知したうえでの学習が必要である.そこで,身体の左右差がどの程度存在するのか,それを実験的に調査した. 具体的には,膝を曲げるまでのスクワットのような動作時に,足底にかかる圧力を3次元歩行解析装置Motion 3D Force Plate M3Dを用いて計測し,左右差を求め,利き足や過去のスポーツ経歴に基づいて分析を行った.分析は,最大値,最小値,平均値の3つの要素について左右での差,右利きと左利きの差で検証を行った.スクワットは,左右同時に圧力がかかる場合に,どれだけ負荷が分散されているかを計測することを目的とした. この実験により,左右差について,t検定を行ったが,有意な左右差は見られないことが明らかになった.
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